疾走していた観月はカードを手に前を見据えた。
「『破滅の創世』様の記憶のカードはどこにあるの?」
「俺達もカードが保管されている場所の正確な位置までは分からない。だが、所持している冬城聖花と萩野まどかはこの建物の最上階にいるのは間違いない……」
司が指差す先を見据えれば、エレベーターと大階段が見えてくる。
今更、ここまできて臆することなどない。誰も彼も歩みは止めない。
――しかし、ここは当然、敵地だ。
ならば、一族の上層部に有する者達が動いてこないわけはない。
大階段へと向かい駆け抜けた先で――
「観月ちゃん……久しぶりだね」
「まどか……!」
観月達の前に立ちはだかったのはまどかであった。
近くには銃を構えた聖花の配下であろう者達の姿も見える。
「冬城聖花はこの場にはいないか」
流石にそう簡単には通してくれないかと、司は思考を巡らせた。
「今のところ、派手に動いていないのは、こちらの出方を観察しているからか」
「……もしかすると、俺達が最上階の奥に行くのを待っているのかもしれねえな」
司と慧は瞳に意志を宿す。一族の上層部の好き勝手にはさせないと――強い意志を。決して譲れない想いがあった。
一族の上層部の一人、聖花がこの建物の最上階の奥にいるのは確実だ。
まどか達が立ち塞がってきたという事実は、如実に聖花に監視されていると考えてもいい。
だが、聖花の最終的な目的が読めない。
「奏多くん。私達は――」
「ああ、俺達は慧にーさん達を援護しよう!」
それでも結愛は奏多と会話を交わすことで、連携の息を察し合う。
「降り注ぐ、は……」
結愛は先手を取るためにカードを振るう。
ふわりと浮かび上がる氷の柱が、隣に立つ奏多の存在が、彼女に膝を突くことを許さなかった。
「氷の裁き……!!」
氷塊の連射が織り成したところで、結愛は渾身の反攻を叩き込む。瞬時に氷気が爆発的な力とともに炸裂した。
「ぐわっ!」
カードから放たれた無数の強大な氷柱は聖花の配下達を突き立てる。
「くそっ、まずはこいつから狙え!」
結愛の力を厄介だと判断した彼らは銃弾を打ち込もうとするものの――
「そうはさせるかよ!」
奏多が不可視のピアノの鍵盤のようなものを宙に顕現させて、それを阻害した。
「奏多くん、ナイスアシストです! グッジョブです!」
「大げさだな……」
奏多の苦笑に、結愛は表情を喜色に染める。
想いを結ぶのも手を繋ぐのも決して一人ではできない。
――本当は人間ではなくても、たとえ神でも、奏多は今、紛れもなく、『結愛の大切な幼なじみ』として共に生きている。
昨日と全く同じ日にはならないように。
今日と全く同じ明日にもならないから。
「どんな困難が立ち塞がっても、私達は前に進んでみせるわ!」
「ふうん。前に進めるものなら、やってみて」
観月はありったけの力をカードに注ぎ込みながら、まっすぐにまどかの向こう側を見据えた。
向かう先は一族の上層部の一人、聖花のお膝元。
彼女を引きずり出すためにも、ここで足止めなどされている暇はないのだから。
「『破滅の創世』様の記憶のカードはどこにあるの?」
「俺達もカードが保管されている場所の正確な位置までは分からない。だが、所持している冬城聖花と萩野まどかはこの建物の最上階にいるのは間違いない……」
司が指差す先を見据えれば、エレベーターと大階段が見えてくる。
今更、ここまできて臆することなどない。誰も彼も歩みは止めない。
――しかし、ここは当然、敵地だ。
ならば、一族の上層部に有する者達が動いてこないわけはない。
大階段へと向かい駆け抜けた先で――
「観月ちゃん……久しぶりだね」
「まどか……!」
観月達の前に立ちはだかったのはまどかであった。
近くには銃を構えた聖花の配下であろう者達の姿も見える。
「冬城聖花はこの場にはいないか」
流石にそう簡単には通してくれないかと、司は思考を巡らせた。
「今のところ、派手に動いていないのは、こちらの出方を観察しているからか」
「……もしかすると、俺達が最上階の奥に行くのを待っているのかもしれねえな」
司と慧は瞳に意志を宿す。一族の上層部の好き勝手にはさせないと――強い意志を。決して譲れない想いがあった。
一族の上層部の一人、聖花がこの建物の最上階の奥にいるのは確実だ。
まどか達が立ち塞がってきたという事実は、如実に聖花に監視されていると考えてもいい。
だが、聖花の最終的な目的が読めない。
「奏多くん。私達は――」
「ああ、俺達は慧にーさん達を援護しよう!」
それでも結愛は奏多と会話を交わすことで、連携の息を察し合う。
「降り注ぐ、は……」
結愛は先手を取るためにカードを振るう。
ふわりと浮かび上がる氷の柱が、隣に立つ奏多の存在が、彼女に膝を突くことを許さなかった。
「氷の裁き……!!」
氷塊の連射が織り成したところで、結愛は渾身の反攻を叩き込む。瞬時に氷気が爆発的な力とともに炸裂した。
「ぐわっ!」
カードから放たれた無数の強大な氷柱は聖花の配下達を突き立てる。
「くそっ、まずはこいつから狙え!」
結愛の力を厄介だと判断した彼らは銃弾を打ち込もうとするものの――
「そうはさせるかよ!」
奏多が不可視のピアノの鍵盤のようなものを宙に顕現させて、それを阻害した。
「奏多くん、ナイスアシストです! グッジョブです!」
「大げさだな……」
奏多の苦笑に、結愛は表情を喜色に染める。
想いを結ぶのも手を繋ぐのも決して一人ではできない。
――本当は人間ではなくても、たとえ神でも、奏多は今、紛れもなく、『結愛の大切な幼なじみ』として共に生きている。
昨日と全く同じ日にはならないように。
今日と全く同じ明日にもならないから。
「どんな困難が立ち塞がっても、私達は前に進んでみせるわ!」
「ふうん。前に進めるものなら、やってみて」
観月はありったけの力をカードに注ぎ込みながら、まっすぐにまどかの向こう側を見据えた。
向かう先は一族の上層部の一人、聖花のお膝元。
彼女を引きずり出すためにも、ここで足止めなどされている暇はないのだから。