「誰の想いも、無駄にはさせねぇぜ」
「奏多様は絶対に護るわ」
慧の確固たる決意に、観月は応えた。
奏多と結愛が十分な距離さえ取れば、慧と観月が懸念する要項が減る。
あとは全力で攻撃を叩き込むのみ――けれども致命状態には気をつけながら、慧達は猛威を振るった。
「さて、ここからが踏ん張りどころだ」
司を始め、『境界線機関』の者達も相応の覚悟を持って、この足止めを行っている。
その守りは固く、そう簡単には隙は見せない。
総力戦を仕掛ければ、十分に勝機はある。
「うわっ! ちょっと!」
アルリットは攻撃を放つために上空に浮上するものの、戦闘機の対空レーザーミサイルによって動きを阻害される。
「しっこいね」
戦車部隊には優勢だったアルリットも、上空からの高いステルス性能を誇る戦闘機の集中放火の前には身動きが取れなくなっていく。
そこから『境界線機関』の者達は怒濤の攻撃によって、『破滅の創世』の配下達の防御を崩しにかかった。
「もう引き時だね」
上空から戦場を俯瞰していたアルリットは引き際を見定める。
とはいうものの、やはり狙いは慧なのだろう。
慧を狙いに定めたアルリットは残像を残すほどの超加速で戦場を飛び回る。
「ケイ、その前に今度こそ確実に消滅させるよ!」
「ああ。来いよ、アルリット!」
慧は二丁拳銃を乱射し、銃弾をこれでもかと撃ち込んでいく。
荒れ狂う嵐の如き乱射は確実にアルリットの動きを妨げる。
それでも慧とアルリットの実力差は歴然だった。
「ちっ……」
慧が瞬く間に、アルリットとの距離が一瞬で縮まった。
「ケイ、これで終わりだよ!」
アルリットは慧を完全に消滅させるために膨大な力を解き放つ。
しかし――
「慧にーさん!」
そこに奏多の――『破滅の創世』の神の力を加味すれば、劣勢は優勢に変わる。
奏多は直撃する寸前、慧の前に立つとその強撃を片手でいとも容易く弾いたのだ。
「奏多、助かったぜ」
安堵の表情を浮かべた慧は感謝の念を奏多に伝える。
「『破滅の創世』様……」
そう告げるアルリットは明確なる殺意を慧達に向けていた。
「『破滅の創世』様を惑わすこの世界。この世界にもたらされるべきは粛清だよ」
アルリットの胸から湧き上がってくるのは鋭く尖った憤り。
そして――
「あたしはね……叶えたいことがあるの。でも、それは『破滅の創世』様の記憶が戻らないと絶対に叶わない願いだから」
たった一つの想い。
何もかもを取り戻せるなら、アルリットはあの頃の『破滅の創世』を取り戻したいと願っていた。
「我が主、次こそは必ず……!」
かっての『破滅の創世』の姿が、リディアの脳裏をよぎる。
リディアにとっての正義とは即ち『破滅の創世』の言葉の完遂である。
その想いを、何時の日か結実させることだけを己に誓って。
「神よ、しばしお待ちを……」
ヒュムノスは奏多の姿を――今の『破滅の創世』の姿をその眸に焼きつけた。
神命の定めを受けて生を受けた『破滅の創世』の配下達にとって、『破滅の創世』は絶対者だ。
それと同時に何を引き換えにしても守り抜きたい存在だった。
「奏多様は絶対に護るわ」
慧の確固たる決意に、観月は応えた。
奏多と結愛が十分な距離さえ取れば、慧と観月が懸念する要項が減る。
あとは全力で攻撃を叩き込むのみ――けれども致命状態には気をつけながら、慧達は猛威を振るった。
「さて、ここからが踏ん張りどころだ」
司を始め、『境界線機関』の者達も相応の覚悟を持って、この足止めを行っている。
その守りは固く、そう簡単には隙は見せない。
総力戦を仕掛ければ、十分に勝機はある。
「うわっ! ちょっと!」
アルリットは攻撃を放つために上空に浮上するものの、戦闘機の対空レーザーミサイルによって動きを阻害される。
「しっこいね」
戦車部隊には優勢だったアルリットも、上空からの高いステルス性能を誇る戦闘機の集中放火の前には身動きが取れなくなっていく。
そこから『境界線機関』の者達は怒濤の攻撃によって、『破滅の創世』の配下達の防御を崩しにかかった。
「もう引き時だね」
上空から戦場を俯瞰していたアルリットは引き際を見定める。
とはいうものの、やはり狙いは慧なのだろう。
慧を狙いに定めたアルリットは残像を残すほどの超加速で戦場を飛び回る。
「ケイ、その前に今度こそ確実に消滅させるよ!」
「ああ。来いよ、アルリット!」
慧は二丁拳銃を乱射し、銃弾をこれでもかと撃ち込んでいく。
荒れ狂う嵐の如き乱射は確実にアルリットの動きを妨げる。
それでも慧とアルリットの実力差は歴然だった。
「ちっ……」
慧が瞬く間に、アルリットとの距離が一瞬で縮まった。
「ケイ、これで終わりだよ!」
アルリットは慧を完全に消滅させるために膨大な力を解き放つ。
しかし――
「慧にーさん!」
そこに奏多の――『破滅の創世』の神の力を加味すれば、劣勢は優勢に変わる。
奏多は直撃する寸前、慧の前に立つとその強撃を片手でいとも容易く弾いたのだ。
「奏多、助かったぜ」
安堵の表情を浮かべた慧は感謝の念を奏多に伝える。
「『破滅の創世』様……」
そう告げるアルリットは明確なる殺意を慧達に向けていた。
「『破滅の創世』様を惑わすこの世界。この世界にもたらされるべきは粛清だよ」
アルリットの胸から湧き上がってくるのは鋭く尖った憤り。
そして――
「あたしはね……叶えたいことがあるの。でも、それは『破滅の創世』様の記憶が戻らないと絶対に叶わない願いだから」
たった一つの想い。
何もかもを取り戻せるなら、アルリットはあの頃の『破滅の創世』を取り戻したいと願っていた。
「我が主、次こそは必ず……!」
かっての『破滅の創世』の姿が、リディアの脳裏をよぎる。
リディアにとっての正義とは即ち『破滅の創世』の言葉の完遂である。
その想いを、何時の日か結実させることだけを己に誓って。
「神よ、しばしお待ちを……」
ヒュムノスは奏多の姿を――今の『破滅の創世』の姿をその眸に焼きつけた。
神命の定めを受けて生を受けた『破滅の創世』の配下達にとって、『破滅の創世』は絶対者だ。
それと同時に何を引き換えにしても守り抜きたい存在だった。