「神よ……」
ヒュムノスは自身の攻撃が防がれたことよりも、奏多の意向を確かめたいと願っていた。
「我らは神のご意志が戻ることを焦がれ待つ。この身は、この身の行いは。間違いなく、我が神にとっての糧となる」
「……っ」
そう吐露したヒュムノスはただ一心に奏多を見つめる。
――胸に抱く哀愁にも似た感情を瞳に宿しながら。
「……もう間もなくだ。我が主」
リディアは己の神命を遂行するという強い信念を宿していた。
「あたし達、『破滅の創世』様のために必ずカードを手に入れるよ」
アルリットはあらゆる手札を行使し、知略を張り巡らせ、確実に神の意思を完遂しようとしている。
だからこそ、奏多の神としての記憶が完全に戻ることを何よりも待ち望んでいた。
「……『破滅の創世』」
だからだろうか――。
奏多にとって、眼前のヒュムノス達の姿は無性に懐かしくも感じられた。
この状況に囚われてはいけない、という何か不安めいたものが心に浮かんでいた。
この世界を正さなければならない、という確信めいたものが心に浮かんでいた。
奏多が抱える矛盾した思いは、戦いが激化する度に彼の胸を苛み続けていた。
神獣の軍勢が歩を進める。
現在、直面している『破滅の創世』の配下達の襲撃には苦しい戦況が続いていた。
「あれは……?」
その時、上空から次々と多機能ステルス戦闘機が飛来する。
航空自衛隊のものだろうか。
さらに物々しい戦車が戦場に雪崩れ込んできた。
突然の闖入者達によって、戦場は荒れる。
「自衛隊の援軍か」
会敵の刹那、神獣の軍勢が迫る。
怒濤の如く迫る衝撃に、戦車部隊は大地を抉り、けれど果敢に砲弾を叩きつけた。
「これなら、何とかなるかもしれない……!」
敵陣を穿つ猛攻。戦車部隊は次々と神獣を撃破していく。
「もう……厄介な攻撃だね!」
戦闘機は対空レーザーミサイルで攻撃し、高速で飛行していたアルリットの動きを妨げた。
だが、ヒュムノスは動じず、憐憫に満ちた目で上空を見る。
「『境界線機関』……」
『境界線機関』はこの世界の未来を担う、練度の高い精強な部隊だった。
表向き、一族の者達とは協力関係になっている組織である。
彼らは世界各地で『破滅の創世』の配下達と戦闘を繰り広げている猛者だった。
その部隊の構成員は、一族の冠位の者から軍に所属している者まで様々な面子で成り立っている。
その時、奏多達の身を守っていた慧達の前に一人の男性が姿を現した。
「遅れてすまない」
「……まさか、リーダーのおまえまで来るとは思わなかったぜ。司」
親しげな慧の声音に、『境界線機関』のリーダー、雄飛司は剣呑に返す。
「『破滅の創世』様を護るために決まっているだろう。一族の上層部から今までの情報は聞き及んでいる。今回、俺達は『破滅の創世』様を守護する任務を帯びている」
恐らく、司の言葉は本心だろう。
司を始め、『境界線機関』の者達は一族の上層部を毛嫌いしているようだが、しかし、その働きに感謝をせぬような無礼者でもなかった。
ヒュムノスは自身の攻撃が防がれたことよりも、奏多の意向を確かめたいと願っていた。
「我らは神のご意志が戻ることを焦がれ待つ。この身は、この身の行いは。間違いなく、我が神にとっての糧となる」
「……っ」
そう吐露したヒュムノスはただ一心に奏多を見つめる。
――胸に抱く哀愁にも似た感情を瞳に宿しながら。
「……もう間もなくだ。我が主」
リディアは己の神命を遂行するという強い信念を宿していた。
「あたし達、『破滅の創世』様のために必ずカードを手に入れるよ」
アルリットはあらゆる手札を行使し、知略を張り巡らせ、確実に神の意思を完遂しようとしている。
だからこそ、奏多の神としての記憶が完全に戻ることを何よりも待ち望んでいた。
「……『破滅の創世』」
だからだろうか――。
奏多にとって、眼前のヒュムノス達の姿は無性に懐かしくも感じられた。
この状況に囚われてはいけない、という何か不安めいたものが心に浮かんでいた。
この世界を正さなければならない、という確信めいたものが心に浮かんでいた。
奏多が抱える矛盾した思いは、戦いが激化する度に彼の胸を苛み続けていた。
神獣の軍勢が歩を進める。
現在、直面している『破滅の創世』の配下達の襲撃には苦しい戦況が続いていた。
「あれは……?」
その時、上空から次々と多機能ステルス戦闘機が飛来する。
航空自衛隊のものだろうか。
さらに物々しい戦車が戦場に雪崩れ込んできた。
突然の闖入者達によって、戦場は荒れる。
「自衛隊の援軍か」
会敵の刹那、神獣の軍勢が迫る。
怒濤の如く迫る衝撃に、戦車部隊は大地を抉り、けれど果敢に砲弾を叩きつけた。
「これなら、何とかなるかもしれない……!」
敵陣を穿つ猛攻。戦車部隊は次々と神獣を撃破していく。
「もう……厄介な攻撃だね!」
戦闘機は対空レーザーミサイルで攻撃し、高速で飛行していたアルリットの動きを妨げた。
だが、ヒュムノスは動じず、憐憫に満ちた目で上空を見る。
「『境界線機関』……」
『境界線機関』はこの世界の未来を担う、練度の高い精強な部隊だった。
表向き、一族の者達とは協力関係になっている組織である。
彼らは世界各地で『破滅の創世』の配下達と戦闘を繰り広げている猛者だった。
その部隊の構成員は、一族の冠位の者から軍に所属している者まで様々な面子で成り立っている。
その時、奏多達の身を守っていた慧達の前に一人の男性が姿を現した。
「遅れてすまない」
「……まさか、リーダーのおまえまで来るとは思わなかったぜ。司」
親しげな慧の声音に、『境界線機関』のリーダー、雄飛司は剣呑に返す。
「『破滅の創世』様を護るために決まっているだろう。一族の上層部から今までの情報は聞き及んでいる。今回、俺達は『破滅の創世』様を守護する任務を帯びている」
恐らく、司の言葉は本心だろう。
司を始め、『境界線機関』の者達は一族の上層部を毛嫌いしているようだが、しかし、その働きに感謝をせぬような無礼者でもなかった。