「あらゆる物事は『立場』が変われば『見え方』が変わるものです。もはや、この世界を守る方法は一つ。『破滅の創世』様にこのまま、記憶を封印した上で、人間として生きて頂くしか他はないのです」
少なくとも一族の上層部は、半ば盲目的に――あるいは狂信的にそう信じていた。
数多の世界の可能性を取り込んだこの世界で繰り返される『破滅の創世』という神の加護を用いた実験と解析。
その過程で顕現する『破滅の創世』の配下達という存在は、一族の上層部にとって看過できないものになっていた。
「――白々しいな」
一族の上層部の者の包み込むようなその問いかけに――応えたのは司だった。
「そう言いつつ、単純に、おまえ達が『破滅の創世』様の加護を失いたくないだけだろう」
状況を踏まえた司はそう判断する。
「そうね……」
一族の上層部に意見する。
それを口にすることは、どこまでも簡単なようで、かなりの重責を担うことであるように観月には思えた。
「一族の上層部は『破滅の創世』様の神としての権能の一つである『神の加護』を有しているわ」
観月は一つ一つを噛みしめるように口にしてから視線を上げる。
どこまでも続くような滑走路は、思わず引き込まれそうになるほど、陽の光に満ちていた。
「神のごとき強制的な支配力。それは天災さえも支配し、それを利用することができるわ。そして、一族の上層部をよく思っていなかった者達さえも、彼らに協力してしまうほどの力」
「ある意味、洗脳に近い力だな」
観月の説明を慧が補足する。
「そして、一族の上層部が有している神の加護は同じ一族の者には効果は及ばないけど、それ以外の者は影響を受けてしまう危険な力」
穏やかな静寂に一石を投じるように、一族の上層部の者達を凝視する。
握った両手に、観月は恐れるような想いとともに、求めるような気持ちを込め、そっと力を込めた。
「これ以上、みんなを苦しめるようなことは絶対にさせないわ!」
「まぁ、そういうことだ。悪いが、安全な場所までの同行は、俺達が受け持つぜ!」
慧は強い瞳で観月を見据える。
それは深い絶望に塗れながらも前に進む決意を湛えた眸だった。
一族の上層部の策謀。何一つ連中の思いどおりなど、させてやるものかと。
「ええ……もちろんよ……」
他に言葉は不要とばかりに、観月は優しい表情を浮かべていた。
二人の誓いはたった一つ。
奏多と結愛を護るためにこの状況を打開すること――一族の上層部の野望を挫くために絶望の未来になる連鎖を断ち切ることだ。
少なくとも一族の上層部は、半ば盲目的に――あるいは狂信的にそう信じていた。
数多の世界の可能性を取り込んだこの世界で繰り返される『破滅の創世』という神の加護を用いた実験と解析。
その過程で顕現する『破滅の創世』の配下達という存在は、一族の上層部にとって看過できないものになっていた。
「――白々しいな」
一族の上層部の者の包み込むようなその問いかけに――応えたのは司だった。
「そう言いつつ、単純に、おまえ達が『破滅の創世』様の加護を失いたくないだけだろう」
状況を踏まえた司はそう判断する。
「そうね……」
一族の上層部に意見する。
それを口にすることは、どこまでも簡単なようで、かなりの重責を担うことであるように観月には思えた。
「一族の上層部は『破滅の創世』様の神としての権能の一つである『神の加護』を有しているわ」
観月は一つ一つを噛みしめるように口にしてから視線を上げる。
どこまでも続くような滑走路は、思わず引き込まれそうになるほど、陽の光に満ちていた。
「神のごとき強制的な支配力。それは天災さえも支配し、それを利用することができるわ。そして、一族の上層部をよく思っていなかった者達さえも、彼らに協力してしまうほどの力」
「ある意味、洗脳に近い力だな」
観月の説明を慧が補足する。
「そして、一族の上層部が有している神の加護は同じ一族の者には効果は及ばないけど、それ以外の者は影響を受けてしまう危険な力」
穏やかな静寂に一石を投じるように、一族の上層部の者達を凝視する。
握った両手に、観月は恐れるような想いとともに、求めるような気持ちを込め、そっと力を込めた。
「これ以上、みんなを苦しめるようなことは絶対にさせないわ!」
「まぁ、そういうことだ。悪いが、安全な場所までの同行は、俺達が受け持つぜ!」
慧は強い瞳で観月を見据える。
それは深い絶望に塗れながらも前に進む決意を湛えた眸だった。
一族の上層部の策謀。何一つ連中の思いどおりなど、させてやるものかと。
「ええ……もちろんよ……」
他に言葉は不要とばかりに、観月は優しい表情を浮かべていた。
二人の誓いはたった一つ。
奏多と結愛を護るためにこの状況を打開すること――一族の上層部の野望を挫くために絶望の未来になる連鎖を断ち切ることだ。



