「『破滅の創世』の配下達の狙いは俺だ。何とかしないと……」
改めて戦局を見据えた奏多は置かれた状況を重くみる。
その時、奏多は異変に気づいた。
「慧にーさん、攻撃が来る!」
奏多がそう呼びかけた途端、通路の向こうから無数の光撃が飛んでくる。
彼女が招いたのは無慈悲に蹂躙する光。
結愛達には……悲鳴の声の一つすら上げる時間は与えられなかった。
その前に彼女が招いた致命的な光撃が結愛達へと放たれていたからだ。
だが――
「……っ」
次の瞬間、結愛達の視界は一変していた。
「……あっ」
結愛の前に、いつの間にか手をかざした奏多が立っている。
光撃の遠撃。それは寸分違わず結愛達に迫った、はずなのに。
それなのに――
「……奏多くん」
しかし、それによって伴われる絶大なる威力はこの場にいる者達に与えられることはなかった。
膨大な光撃が結愛達に命中するその寸前に、奏多が片手でそれを弾いてしまったからだ。
「みんな、大丈夫か?」
「はい、奏多くん」
結愛達の身に唐突に訪れた窮地。
しかし、それは奏多が手をかざしたことで危機を脱していた。
「奏多、助かったぜ」
「本当に凄まじい力ね」
慧の言葉に呼応するように、観月は眸に不安の色を堪える。
「またもや、わらわの攻撃を防ぎよった。記憶を失った『破滅の創世』、本当に厄介じゃのう」
身を呈して結愛達を守った奏多の姿を見て、ベアトリーチェは落胆する。
「なあ、此ノ里結愛。おまえはこの戦況、どう見る? 俺達が有利だと思うか? それとも、不利だと思うか?」
「はううっ、それは……」
ヒューゴの突然の矛先の変更に、結愛はわたわたと明確に言葉を詰まらせた。
「『破滅の創世』の配下、そして不変の魔女、ベアトリーチェ様の力は強大だ。おまえの大好きな幼なじみを守り抜くためには、完全に協力し合った方がいいんじゃないか。そう思わねぇ?」
「そう思わない」
司の率直な物言いに、ヒューゴはその唇に「感情的だな」と純粋な言葉を形取らせた。
「雄飛司。おまえにとっても、浅湖慧は大切な存在だろう? このまま、俺が非業の死を迎えたら、浅湖慧も死ぬけど、いいのかよ?」
「……っ」
ヒューゴが苦々しいという顔で語った問いかけに、司は絶句する。
「自分達の目的のために、俺達の心を利用する。随分と悪辣な手口だな。まぁ、一族の上層部らしいやり方だけどな」
「そうね」
この世の悪意を凝集したような一族の上層部のやり方に、司だけではなく、慧と観月も激しい嫌悪を覚えたのは間違いない。
改めて戦局を見据えた奏多は置かれた状況を重くみる。
その時、奏多は異変に気づいた。
「慧にーさん、攻撃が来る!」
奏多がそう呼びかけた途端、通路の向こうから無数の光撃が飛んでくる。
彼女が招いたのは無慈悲に蹂躙する光。
結愛達には……悲鳴の声の一つすら上げる時間は与えられなかった。
その前に彼女が招いた致命的な光撃が結愛達へと放たれていたからだ。
だが――
「……っ」
次の瞬間、結愛達の視界は一変していた。
「……あっ」
結愛の前に、いつの間にか手をかざした奏多が立っている。
光撃の遠撃。それは寸分違わず結愛達に迫った、はずなのに。
それなのに――
「……奏多くん」
しかし、それによって伴われる絶大なる威力はこの場にいる者達に与えられることはなかった。
膨大な光撃が結愛達に命中するその寸前に、奏多が片手でそれを弾いてしまったからだ。
「みんな、大丈夫か?」
「はい、奏多くん」
結愛達の身に唐突に訪れた窮地。
しかし、それは奏多が手をかざしたことで危機を脱していた。
「奏多、助かったぜ」
「本当に凄まじい力ね」
慧の言葉に呼応するように、観月は眸に不安の色を堪える。
「またもや、わらわの攻撃を防ぎよった。記憶を失った『破滅の創世』、本当に厄介じゃのう」
身を呈して結愛達を守った奏多の姿を見て、ベアトリーチェは落胆する。
「なあ、此ノ里結愛。おまえはこの戦況、どう見る? 俺達が有利だと思うか? それとも、不利だと思うか?」
「はううっ、それは……」
ヒューゴの突然の矛先の変更に、結愛はわたわたと明確に言葉を詰まらせた。
「『破滅の創世』の配下、そして不変の魔女、ベアトリーチェ様の力は強大だ。おまえの大好きな幼なじみを守り抜くためには、完全に協力し合った方がいいんじゃないか。そう思わねぇ?」
「そう思わない」
司の率直な物言いに、ヒューゴはその唇に「感情的だな」と純粋な言葉を形取らせた。
「雄飛司。おまえにとっても、浅湖慧は大切な存在だろう? このまま、俺が非業の死を迎えたら、浅湖慧も死ぬけど、いいのかよ?」
「……っ」
ヒューゴが苦々しいという顔で語った問いかけに、司は絶句する。
「自分達の目的のために、俺達の心を利用する。随分と悪辣な手口だな。まぁ、一族の上層部らしいやり方だけどな」
「そうね」
この世の悪意を凝集したような一族の上層部のやり方に、司だけではなく、慧と観月も激しい嫌悪を覚えたのは間違いない。



