決定打に欠ける連撃。
それでも奏多と結愛の安全さえ確保できれば、慧と観月が懸念する要項が減る。
あとは全力でこの場から離脱するのみ――けれども致命状態には気をつけながら、慧は観月と連携して次の攻撃に移った。
「おい、協同戦線、張っているんだ。浅湖慧、おまえも俺達に加勢しろよ」
「敵対するつもりはないだけで、おまえ達に加勢するつもりはないぜ」
慧の反応も想定どおりだったというように、ヒューゴの楽しそうな表情は変わらない。
「浅湖慧。いい加減、状況を把握しようぜ。まあ、俺はここで死ぬつもりはないから、できる限りの揺さぶりをかけさせてもらう」
現状を把握したヒューゴは唇を噛む。
このまま、悪戯に時間を消費しても平行線だ。
何もしなくては『破滅の創世』の配下達の前に為す術もなく朽ち果てるだけだろう。
ならば、機先を制した方が確かだ。
「『破滅の創世』の配下達の動きを阻害する必要がありそうだな」
アルリット達を――『破滅の創世』の配下達を侮ってはいけない。
これまでの戦績を思えば、その事実は明白である。
そう判断したヒューゴは指示した。
すると間隙を突くように、一族の上層部の者達はアルリットを包囲する。
「――うん、あたし達の動きを止めるつもりみたいだね」
アルリットは自分を取り囲む一族の上層部の者達を見る。
「下らないことをするね。一族の上層部の人間は」
アルリットはそう言うと軽く手を振りかざした。
本来なら、それだけでヒューゴ達は吹き飛ばされただろう。
だが、ヒューゴは手をかざしたことで、その攻撃をなかったことにしたのだ。
「その能力、本当に素晴らしいね」
「……残念だが、くれてやるつもりはない」
アルリットの目に宿った殺意を前にしても、ヒューゴは余裕綽々という感情を眸に乗せる。
この場を打開できる算段があるように――。
「さっさとこの場から撤退するか、おっと、その前に浅湖慧、おまえも俺達に加勢しろよ」
「奏多のおかげで、呪いは解けている。加勢するつもりはないぜ」
慧の反応も想定どおりだったというように、ヒューゴの楽しそうな表情は変わらない。
「いや、そのことは重々、分かっているさ。ただ、この場を切り抜けるためには――」
如何に不明瞭な状況でも、答えはそれだけで事足りた。
そう言わんばかりに、ヒューゴは事実をさらりと告げる。
「緊急脱出装置が必要になるからな」
「ちっ、そういうことか!」
「……緊急脱出装置」
あまりにも衝撃的な事実を突きつけられて、慧と観月は大きく目を見開いた。
それでも奏多と結愛の安全さえ確保できれば、慧と観月が懸念する要項が減る。
あとは全力でこの場から離脱するのみ――けれども致命状態には気をつけながら、慧は観月と連携して次の攻撃に移った。
「おい、協同戦線、張っているんだ。浅湖慧、おまえも俺達に加勢しろよ」
「敵対するつもりはないだけで、おまえ達に加勢するつもりはないぜ」
慧の反応も想定どおりだったというように、ヒューゴの楽しそうな表情は変わらない。
「浅湖慧。いい加減、状況を把握しようぜ。まあ、俺はここで死ぬつもりはないから、できる限りの揺さぶりをかけさせてもらう」
現状を把握したヒューゴは唇を噛む。
このまま、悪戯に時間を消費しても平行線だ。
何もしなくては『破滅の創世』の配下達の前に為す術もなく朽ち果てるだけだろう。
ならば、機先を制した方が確かだ。
「『破滅の創世』の配下達の動きを阻害する必要がありそうだな」
アルリット達を――『破滅の創世』の配下達を侮ってはいけない。
これまでの戦績を思えば、その事実は明白である。
そう判断したヒューゴは指示した。
すると間隙を突くように、一族の上層部の者達はアルリットを包囲する。
「――うん、あたし達の動きを止めるつもりみたいだね」
アルリットは自分を取り囲む一族の上層部の者達を見る。
「下らないことをするね。一族の上層部の人間は」
アルリットはそう言うと軽く手を振りかざした。
本来なら、それだけでヒューゴ達は吹き飛ばされただろう。
だが、ヒューゴは手をかざしたことで、その攻撃をなかったことにしたのだ。
「その能力、本当に素晴らしいね」
「……残念だが、くれてやるつもりはない」
アルリットの目に宿った殺意を前にしても、ヒューゴは余裕綽々という感情を眸に乗せる。
この場を打開できる算段があるように――。
「さっさとこの場から撤退するか、おっと、その前に浅湖慧、おまえも俺達に加勢しろよ」
「奏多のおかげで、呪いは解けている。加勢するつもりはないぜ」
慧の反応も想定どおりだったというように、ヒューゴの楽しそうな表情は変わらない。
「いや、そのことは重々、分かっているさ。ただ、この場を切り抜けるためには――」
如何に不明瞭な状況でも、答えはそれだけで事足りた。
そう言わんばかりに、ヒューゴは事実をさらりと告げる。
「緊急脱出装置が必要になるからな」
「ちっ、そういうことか!」
「……緊急脱出装置」
あまりにも衝撃的な事実を突きつけられて、慧と観月は大きく目を見開いた。



