「……何という力だ」
ここにきて、ようやく誰もが理解した。
これは彼が行使している力なのだと。
これが神命の定めを受けて生を受けた『破滅の創世』の配下の力なのだと。
たった一人でこれだけの力を使っているのだとしたら……
それはもはや化け物だ。
しかし、そんな強大な力を持つ敵が他にも多く存在しているという現実は変わりない。
恐るべきは『破滅の創世』の配下の者。この場にいる彼らが相手をするには、あまりにも圧倒的すぎた。
「……これが神の愛し子の一人、忘却の王……ヒュムノスの力」
大部隊の後方にいた男が奇跡の名を口にする。
生き延びた者誰もが魂で理解した。
この世界に顕現した『破滅の創世』の配下の者達。それが畏怖すべき、自分達とは次元の違う存在であることを。
血と肉。爆発と閃光。怒号と悲鳴。
互いの存亡を賭けた戦いの場で相容れぬ正義をふりかざして兵達は戦う。
「つーか、どこまでも恐るべき力だな」
「本当ね」
そんな荒れ果てた野を慧と観月が駆けていた。
「まぁ、忘却の王ヒュムノスはアルリットと同じく、『破滅の創世』の幹部の一人だからな」
ひりつく緊張が慧の首元を駆け抜けて行く。
『破滅の創世』の配下の者達の中でもひときわ常軌を逸している存在が『幹部』と呼ばれる者だ。
ヒュムノスを主軸に壮絶な攻めが展開されている。ヒュムノスの圧倒的な攻撃に比べれば、リディアとアルリットの連携攻撃は恐ろしく早く緻密だ。
「ねー。ヒュムノスは身体が頑丈なの。あたしと同じだね」
「アルリットの場合は無駄に元気なだけだろう……」
アルリットの明るい声音に、リディアはため息を吐きながら応対する。
アルリットもまた、『蒼天の王』として、蒼穹の銘を戴く幹部の一人として、かけがえない相棒リディアとともにこの地を踏んでいる。
「蒼天の王アルリット、忘却の王ヒュムノス。幹部が二人もいるなんて厄介ね」
観月は遠くから響いてくる破壊の音に緊張を走らせる。
ここのところ、世界のあらゆる場所で立て続けに、『破滅の創世』の配下の者達に関する事件が多発していた。
世界の各地で『破滅の創世』の配下とともに、神獣などが姿を表し人々を苦しめている。
『破滅の創世』の配下の力は強大だ。その上、不老不死である。何かあれば、勝敗の天秤は『破滅の創世』の配下達に傾く。
その上、今回、アルリット達が観月達に狙いを定めて接触してきたことから、『破滅の創世』の記憶のカードを所持している候補者をある程度、絞り込めたのだろう。
「もしかしたら、彼らはこの付近に『破滅の創世』様の記憶のカードがあることを割り出したのかもしれないわね」
観月は憂うような目で敵の群を見遣っていた。これまでの進軍、そして『破滅の創世』の配下達が見せた今までの一連の動きさえも。
そう――全てはこの時のための布石。
たとえそれが全て偶然の類いだとしても、そこまで来たら必然だって思いたくなるのが人間だ。
慧と観月が今戦っているリディアとアルリットも、そこに絡んでいると思える。そして、『破滅の創世』の配下側が求めるピースも揃いつつあるようだった。
「それが何を指していようともな」
それでも慧は握る銃の柄に力を込める。視線を決してアルリット達から外さずに弾丸を撃ち込む。
「……まぁ、俺達がすることは一つさ」
世界への影響を止めるためにも、アルリット達をこの場に留める……それが、今の慧達にさし迫りし事態であった。
ここにきて、ようやく誰もが理解した。
これは彼が行使している力なのだと。
これが神命の定めを受けて生を受けた『破滅の創世』の配下の力なのだと。
たった一人でこれだけの力を使っているのだとしたら……
それはもはや化け物だ。
しかし、そんな強大な力を持つ敵が他にも多く存在しているという現実は変わりない。
恐るべきは『破滅の創世』の配下の者。この場にいる彼らが相手をするには、あまりにも圧倒的すぎた。
「……これが神の愛し子の一人、忘却の王……ヒュムノスの力」
大部隊の後方にいた男が奇跡の名を口にする。
生き延びた者誰もが魂で理解した。
この世界に顕現した『破滅の創世』の配下の者達。それが畏怖すべき、自分達とは次元の違う存在であることを。
血と肉。爆発と閃光。怒号と悲鳴。
互いの存亡を賭けた戦いの場で相容れぬ正義をふりかざして兵達は戦う。
「つーか、どこまでも恐るべき力だな」
「本当ね」
そんな荒れ果てた野を慧と観月が駆けていた。
「まぁ、忘却の王ヒュムノスはアルリットと同じく、『破滅の創世』の幹部の一人だからな」
ひりつく緊張が慧の首元を駆け抜けて行く。
『破滅の創世』の配下の者達の中でもひときわ常軌を逸している存在が『幹部』と呼ばれる者だ。
ヒュムノスを主軸に壮絶な攻めが展開されている。ヒュムノスの圧倒的な攻撃に比べれば、リディアとアルリットの連携攻撃は恐ろしく早く緻密だ。
「ねー。ヒュムノスは身体が頑丈なの。あたしと同じだね」
「アルリットの場合は無駄に元気なだけだろう……」
アルリットの明るい声音に、リディアはため息を吐きながら応対する。
アルリットもまた、『蒼天の王』として、蒼穹の銘を戴く幹部の一人として、かけがえない相棒リディアとともにこの地を踏んでいる。
「蒼天の王アルリット、忘却の王ヒュムノス。幹部が二人もいるなんて厄介ね」
観月は遠くから響いてくる破壊の音に緊張を走らせる。
ここのところ、世界のあらゆる場所で立て続けに、『破滅の創世』の配下の者達に関する事件が多発していた。
世界の各地で『破滅の創世』の配下とともに、神獣などが姿を表し人々を苦しめている。
『破滅の創世』の配下の力は強大だ。その上、不老不死である。何かあれば、勝敗の天秤は『破滅の創世』の配下達に傾く。
その上、今回、アルリット達が観月達に狙いを定めて接触してきたことから、『破滅の創世』の記憶のカードを所持している候補者をある程度、絞り込めたのだろう。
「もしかしたら、彼らはこの付近に『破滅の創世』様の記憶のカードがあることを割り出したのかもしれないわね」
観月は憂うような目で敵の群を見遣っていた。これまでの進軍、そして『破滅の創世』の配下達が見せた今までの一連の動きさえも。
そう――全てはこの時のための布石。
たとえそれが全て偶然の類いだとしても、そこまで来たら必然だって思いたくなるのが人間だ。
慧と観月が今戦っているリディアとアルリットも、そこに絡んでいると思える。そして、『破滅の創世』の配下側が求めるピースも揃いつつあるようだった。
「それが何を指していようともな」
それでも慧は握る銃の柄に力を込める。視線を決してアルリット達から外さずに弾丸を撃ち込む。
「……まぁ、俺達がすることは一つさ」
世界への影響を止めるためにも、アルリット達をこの場に留める……それが、今の慧達にさし迫りし事態であった。