「ベアトリーチェ様の力は、必ずや『破滅の創世』様をお救いするための最善の手となるはずです」
一見すれば非常に温和なようにも感じるが、レンの胸中には一族の者への形容しがたい怒りがある。
殺意の一言で説明できないほど、その感情は深く深く渦巻いていたから。
「この世界が滅ぶ。だから、何だというのでしょうか。全ては『破滅の創世』様だけで充分です……。私達にとって、それ以外の者はいてもいなくても関係ない」
レンの信の行く果てに、司達の想いは相容れない。
「『破滅の創世』の配下の者は、いつでも『破滅の創世』に忠実じゃな。わらわの配下の者にも見習わせたいのう」
ベアトリーチェが念押しするように言った。
「わらわの配下の者は、わらわの意見など、聞く耳持たぬ」
ベアトリーチェは腕を組んで不満をもらす。
「世界を変えるのは、人間やわらわの配下の者の一存だけでは決められぬというのに」
破滅をもたらす。
救いをもたらす。
相反するようで、彼女達の中では一致している。
神が示した神命。
それは絶対に成し遂げなくてはならない。
神命の定めを受けて生を受けた配下達にとって、神の存在は絶対者だった。
「レン。お主も、そう思うじゃろう?」
「はい、もちろんです。……幸い、アルリットとリディアによって、『破滅の創世』様の居場所は把握できています。あとは一族の上層部の本部に潜入し、『破滅の創世』様のもとに赴くことができれば……」
アルリットの言葉に、随分と物腰丁寧な仕草でレンは礼をする。大仰に両の腕を広げながら。
奏多の――『破滅の創世』の記憶が戻るのを待ちわびるように。
「アルリットが強奪した一族の上層部の人間の能力は、必ずや『破滅の創世』様をお救いするための一助となるはずです。では、この状況に乗じて、私達もまた、『破滅の創世』様のもとに参りましょう」
『破滅の創世』の思い描く情景には遠いかもしれないが、これは確かな一歩のはずだとレンは確信していた。
「願わくはこの戦いで、『破滅の創世』様の神のご意志が戻ることを――」
『破滅の創世』の配下達は、『破滅の創世』の存在とともに在る。
死、消滅、終焉……。
形容しがたい『終わり』の気配とともに、だ。
一見すれば非常に温和なようにも感じるが、レンの胸中には一族の者への形容しがたい怒りがある。
殺意の一言で説明できないほど、その感情は深く深く渦巻いていたから。
「この世界が滅ぶ。だから、何だというのでしょうか。全ては『破滅の創世』様だけで充分です……。私達にとって、それ以外の者はいてもいなくても関係ない」
レンの信の行く果てに、司達の想いは相容れない。
「『破滅の創世』の配下の者は、いつでも『破滅の創世』に忠実じゃな。わらわの配下の者にも見習わせたいのう」
ベアトリーチェが念押しするように言った。
「わらわの配下の者は、わらわの意見など、聞く耳持たぬ」
ベアトリーチェは腕を組んで不満をもらす。
「世界を変えるのは、人間やわらわの配下の者の一存だけでは決められぬというのに」
破滅をもたらす。
救いをもたらす。
相反するようで、彼女達の中では一致している。
神が示した神命。
それは絶対に成し遂げなくてはならない。
神命の定めを受けて生を受けた配下達にとって、神の存在は絶対者だった。
「レン。お主も、そう思うじゃろう?」
「はい、もちろんです。……幸い、アルリットとリディアによって、『破滅の創世』様の居場所は把握できています。あとは一族の上層部の本部に潜入し、『破滅の創世』様のもとに赴くことができれば……」
アルリットの言葉に、随分と物腰丁寧な仕草でレンは礼をする。大仰に両の腕を広げながら。
奏多の――『破滅の創世』の記憶が戻るのを待ちわびるように。
「アルリットが強奪した一族の上層部の人間の能力は、必ずや『破滅の創世』様をお救いするための一助となるはずです。では、この状況に乗じて、私達もまた、『破滅の創世』様のもとに参りましょう」
『破滅の創世』の思い描く情景には遠いかもしれないが、これは確かな一歩のはずだとレンは確信していた。
「願わくはこの戦いで、『破滅の創世』様の神のご意志が戻ることを――」
『破滅の創世』の配下達は、『破滅の創世』の存在とともに在る。
死、消滅、終焉……。
形容しがたい『終わり』の気配とともに、だ。



