「一族の者が『破滅の創世』様にそのような願いを抱くなど、愚かだ。無為だと知れ!!」
連綿の攻防の最中、リディアが宙に顕現させた数多の光の槍を投擲する。
『破滅の創世』が定めし世界を歪めた一族の者達に天罰を与えて、『破滅の創世』の意志を遂行する。
この世界の淀んだ流れを正すべく天に還すために――。
この強靭な猛撃をまともに浴びれば、結愛は瞬時に消滅してしまうだろう。
だが――無数の光の槍が結愛に突き刺さる前に、その間にまばゆい閃光がほとぼしる。
「そうはさせるかよ!」
奏多が事前に、不可視のピアノの鍵盤のようなものを宙に顕現させて鍵盤を弾いていたのだ。
青い光からなるのは音色の堅牢(けんろう)堅固(けんご)な盾。その彼なりの極致は光の槍を弾いていく。
「続けて行きますよ! 降り注ぐは氷の裁き……!!」
氷塊の連射が織り成したところで、結愛は渾身の反攻を叩き込む。
瞬時に氷気が爆発的な力とともに炸裂した。
「大丈夫か、結愛」
「はい、奏多くん」
奏多と結愛は会話を交わすことで、感謝の念と次なる連携を察し合う。
「『破滅の創世』様……」
リディアは攻撃を防がれたことよりも、奏多が結愛を救うために割って入ったことに動揺していた。
「どうして……どうして……その人間を庇うんだ……? その人間は『破滅の創世』様の記憶を封印した一族の者だ。庇う必要はない」
「……っ」
そう吐露したリディアの瞳と奏多の瞳が重なる。
その瞬間、奏多の胸が苦しくて息苦しくなる。
リディアの瞳はあまりにも深く、吸い込まれそうだったからだ。
「『破滅の創世』様……!」
「おっと、それ以上は行かせねえぜ!」
そう吐露したリディアの前に慧は立ち塞がる。
「奏多、ここは任せな!」
「慧にーさん……!」
慧は奏多達がこの場を離脱する猶予を作るようにリディアに向けて発砲した。
弾は寸分違わず、リディアに命中するが、すぐに塵のように消えていった。
「どうして……か」
奏多は油断すれば湧き上がる想いを前にして俯く。
その時、心中で無機質な声が木霊した。
『約束など不要なものだ。愚者を救う必要などない』
人は、永遠ではない。
そんなことは分かり切っていることなのだけど。
それでも。
それでも――
「奏多くん。私達は――」
「ああ、俺達は慧にーさん達を援護しよう!」
それでも奏多は結愛と会話を交わすことで、連携の息を察し合う。
「降り注ぐ、は……」
結愛は先手を取るためにカードを振るう。
ふわりと浮かび上がる氷の柱が、奏多の存在が、彼女に膝を突くことを許さなかった。
連綿の攻防の最中、リディアが宙に顕現させた数多の光の槍を投擲する。
『破滅の創世』が定めし世界を歪めた一族の者達に天罰を与えて、『破滅の創世』の意志を遂行する。
この世界の淀んだ流れを正すべく天に還すために――。
この強靭な猛撃をまともに浴びれば、結愛は瞬時に消滅してしまうだろう。
だが――無数の光の槍が結愛に突き刺さる前に、その間にまばゆい閃光がほとぼしる。
「そうはさせるかよ!」
奏多が事前に、不可視のピアノの鍵盤のようなものを宙に顕現させて鍵盤を弾いていたのだ。
青い光からなるのは音色の堅牢(けんろう)堅固(けんご)な盾。その彼なりの極致は光の槍を弾いていく。
「続けて行きますよ! 降り注ぐは氷の裁き……!!」
氷塊の連射が織り成したところで、結愛は渾身の反攻を叩き込む。
瞬時に氷気が爆発的な力とともに炸裂した。
「大丈夫か、結愛」
「はい、奏多くん」
奏多と結愛は会話を交わすことで、感謝の念と次なる連携を察し合う。
「『破滅の創世』様……」
リディアは攻撃を防がれたことよりも、奏多が結愛を救うために割って入ったことに動揺していた。
「どうして……どうして……その人間を庇うんだ……? その人間は『破滅の創世』様の記憶を封印した一族の者だ。庇う必要はない」
「……っ」
そう吐露したリディアの瞳と奏多の瞳が重なる。
その瞬間、奏多の胸が苦しくて息苦しくなる。
リディアの瞳はあまりにも深く、吸い込まれそうだったからだ。
「『破滅の創世』様……!」
「おっと、それ以上は行かせねえぜ!」
そう吐露したリディアの前に慧は立ち塞がる。
「奏多、ここは任せな!」
「慧にーさん……!」
慧は奏多達がこの場を離脱する猶予を作るようにリディアに向けて発砲した。
弾は寸分違わず、リディアに命中するが、すぐに塵のように消えていった。
「どうして……か」
奏多は油断すれば湧き上がる想いを前にして俯く。
その時、心中で無機質な声が木霊した。
『約束など不要なものだ。愚者を救う必要などない』
人は、永遠ではない。
そんなことは分かり切っていることなのだけど。
それでも。
それでも――
「奏多くん。私達は――」
「ああ、俺達は慧にーさん達を援護しよう!」
それでも奏多は結愛と会話を交わすことで、連携の息を察し合う。
「降り注ぐ、は……」
結愛は先手を取るためにカードを振るう。
ふわりと浮かび上がる氷の柱が、奏多の存在が、彼女に膝を突くことを許さなかった。



