「観月、これ以上、被害を出さないためにも、ここで何としても食い止めるぜ!」
「分かったわ」
様々な思いが過りつつも、慧と観月は動き出す。
「『破滅の創世』の配下達、一族の上層部、どちらも味方ではないわ。この混乱した状況を利用して、奏多様を狙ってくるかもしれない」
そこに疑いを挟む余地はない。
観月が口にしたその言葉が全てを物語っていた。
「そうだね。あたし達が今回、遂行することは『破滅の創世』様を拠点にお連れすること」
「貴様らの問答に付き合うつもりはない」
アルリットとリディアが歩み寄ってくる。
その一言一句に恐怖に駆られ、顔を強張らせる観月。
「なら、付き合ってもらうとするかねぇ」
逆にヒューゴは喜ばしいとばかりに笑んでいる。
「下らないことをするね。一族の上層部の人間は」
そう告げるアルリットは明確なる殺意をヒューゴに向けていた。
「愚かなものだ。一族の上層部の人間とは」
口にすれば、それ相応の苛立ちと嫌悪がにじみ出てくる。
リディアは忌まわしくも見慣れた悪意を視界に収めた。
「『破滅の創世』様が示した悲憤の神命。それは絶対に成し遂げなきゃならないことだから」
アルリット達はその為に動いている。
そう――目的はたった一つだけ。
遥か彼方より、『破滅の創世』の配下達の望みはそれだけだった。
だからこそ、大願とも呼べるその本懐を遂げるために一族の上層部をも利用しただけに過ぎないのだ。
「悪いな、アルリット。奏多を渡すわけにはいかねえんだ……!」
事態を重く見た慧は即座に銃口をアルリット達に向けて発砲する。
焦りもない。
怯えもない。
正確無比な射撃で、慧はただ眼前の敵達を撃ち抜いた。
『冠位魔撃者』、彼にその名が献ぜられた理由の半分は卓越した銃さばきにある。
だが――晴れた煙幕の向こうで展開していた光景は彼の想像どおりのものだった。
銃弾は一つとして、まともに標的に着弾していない。
「愚かなものだ。このようなもので、わたし達を倒せると思っているとは」
口にすれば、それ相応の苛立ちと嫌悪がにじみ出てくる。
リディア達は何事もなかったように慧を見据えていた。
「まぁ、この程度じゃ足止めにもならねえか」
慧は静かに呼気を吐きだした。
この際、一族の上層部達に関する疑問は後回しだ。
問題なのはリディア達がこの地域一帯を無差別に攻撃する可能性が高いという点である。
恐らく誰も彼もを『破滅の創世』を害する者、と認識しているだろう。
「分かったわ」
様々な思いが過りつつも、慧と観月は動き出す。
「『破滅の創世』の配下達、一族の上層部、どちらも味方ではないわ。この混乱した状況を利用して、奏多様を狙ってくるかもしれない」
そこに疑いを挟む余地はない。
観月が口にしたその言葉が全てを物語っていた。
「そうだね。あたし達が今回、遂行することは『破滅の創世』様を拠点にお連れすること」
「貴様らの問答に付き合うつもりはない」
アルリットとリディアが歩み寄ってくる。
その一言一句に恐怖に駆られ、顔を強張らせる観月。
「なら、付き合ってもらうとするかねぇ」
逆にヒューゴは喜ばしいとばかりに笑んでいる。
「下らないことをするね。一族の上層部の人間は」
そう告げるアルリットは明確なる殺意をヒューゴに向けていた。
「愚かなものだ。一族の上層部の人間とは」
口にすれば、それ相応の苛立ちと嫌悪がにじみ出てくる。
リディアは忌まわしくも見慣れた悪意を視界に収めた。
「『破滅の創世』様が示した悲憤の神命。それは絶対に成し遂げなきゃならないことだから」
アルリット達はその為に動いている。
そう――目的はたった一つだけ。
遥か彼方より、『破滅の創世』の配下達の望みはそれだけだった。
だからこそ、大願とも呼べるその本懐を遂げるために一族の上層部をも利用しただけに過ぎないのだ。
「悪いな、アルリット。奏多を渡すわけにはいかねえんだ……!」
事態を重く見た慧は即座に銃口をアルリット達に向けて発砲する。
焦りもない。
怯えもない。
正確無比な射撃で、慧はただ眼前の敵達を撃ち抜いた。
『冠位魔撃者』、彼にその名が献ぜられた理由の半分は卓越した銃さばきにある。
だが――晴れた煙幕の向こうで展開していた光景は彼の想像どおりのものだった。
銃弾は一つとして、まともに標的に着弾していない。
「愚かなものだ。このようなもので、わたし達を倒せると思っているとは」
口にすれば、それ相応の苛立ちと嫌悪がにじみ出てくる。
リディア達は何事もなかったように慧を見据えていた。
「まぁ、この程度じゃ足止めにもならねえか」
慧は静かに呼気を吐きだした。
この際、一族の上層部達に関する疑問は後回しだ。
問題なのはリディア達がこの地域一帯を無差別に攻撃する可能性が高いという点である。
恐らく誰も彼もを『破滅の創世』を害する者、と認識しているだろう。



