「いいのか? 奏多様に危害を加えることになっても」
「そんなわけねぇだろう……!」
ヒューゴの冷ややかな言葉に、慧は銃口を向けて断言した。
奏多達を救うために。
もう、逃げ出してはならないと慧は知っているから。
「司、ここで何としても食い止めるぜ!」
「当然だ」
様々な思いが過りつつも、慧と司は動き出す。
穏やかならざる空気を纏う戦場。
奏多がいる場所。
そちらへと視線を滑らせて――。
「奏多、今だ!」
「慧にーさん!」
慧は、奏多がヒューゴの手が逃れられる猶予を作るように発砲した。
焦りもない。
怯えもない。
正確無比な射撃で、慧はただ眼前のヒューゴを撃ち抜いた。
『冠位魔撃者』、彼にその名が献ぜられた理由の半分は卓越した銃さばきにある。
「……っ!」
その間隙を突いて、奏多はヒューゴの拘束を振りほどいた。
「奏多くん、大丈夫ですか?」
「ああ。結愛は大丈夫か?」
「はい。大丈夫ですよ」
解放された奏多が、結愛を守る位置に移動した。
奏多の安全さえ確保できれば、慧と観月が懸念する要項が減る。
あとは全力で奏多を死守するのみ――けれども致命状態には気をつけながら、慧は観月と連携して次の攻撃に移った。
「ふーん。亡くなった人間を、アンデットにしたんだね。あなたの能力って面白いね。確か、死んだ者をアンデット、つまり不死者にすることができる力だよね」
ヒューゴの姿を認めてから、アルリットはにこりと微笑んだ。
「アルリット、このまま『強奪』するのか?」
「うん。利用価値がありそうだし」
リディアの疑問に、アルリットは朗らかにそう応えた。
「それにケイのように生き返ったら困るからね」
重要な任務に失敗し、アルリットに殺害された後、慧はヒューゴの手によってアンデット、つまり不死者として蘇っている。
だからこそ、アルリットはヒューゴが再び、別の者を蘇させてくると踏んでいた。
「『破滅の創世』様の神の権能の力に目を付けて、私欲のために利用している愚か者」
銀髪の少女――リディアが発した戦意の言葉は、刹那の迷いすらなかった。
最強の力を持つとされる神『破滅の創世』を人という器に封じ込め、神の力を自らの目的に利用する。その一族の行為は『破滅の創世』のみではなく、他の神全てに対しての裏切りだ。
『破滅の創世』の配下であるリディア達にとって決して看過できない行為だった。
「不死だと言ったな。その言葉、改めて確かめさせてもらうよ」
リディアはそのまま無造作に右手を斜め上に振り払う。
「――っ! ……凄まじいねぇ」
たったそれだけの動作で、リディアはヒューゴとその周囲の者達を楽々と弾き飛ばした。
喰らった力の凄まじさはヒューゴがうめき、身動きが取れなくなるほどだ。
だが――。
「何故、貴様はそんなに余裕があるんだ?」
「さあ、なんでだろうな」
状況が掴めないリディアに応えるように、ヒューゴは不敵に笑った。
「そんなわけねぇだろう……!」
ヒューゴの冷ややかな言葉に、慧は銃口を向けて断言した。
奏多達を救うために。
もう、逃げ出してはならないと慧は知っているから。
「司、ここで何としても食い止めるぜ!」
「当然だ」
様々な思いが過りつつも、慧と司は動き出す。
穏やかならざる空気を纏う戦場。
奏多がいる場所。
そちらへと視線を滑らせて――。
「奏多、今だ!」
「慧にーさん!」
慧は、奏多がヒューゴの手が逃れられる猶予を作るように発砲した。
焦りもない。
怯えもない。
正確無比な射撃で、慧はただ眼前のヒューゴを撃ち抜いた。
『冠位魔撃者』、彼にその名が献ぜられた理由の半分は卓越した銃さばきにある。
「……っ!」
その間隙を突いて、奏多はヒューゴの拘束を振りほどいた。
「奏多くん、大丈夫ですか?」
「ああ。結愛は大丈夫か?」
「はい。大丈夫ですよ」
解放された奏多が、結愛を守る位置に移動した。
奏多の安全さえ確保できれば、慧と観月が懸念する要項が減る。
あとは全力で奏多を死守するのみ――けれども致命状態には気をつけながら、慧は観月と連携して次の攻撃に移った。
「ふーん。亡くなった人間を、アンデットにしたんだね。あなたの能力って面白いね。確か、死んだ者をアンデット、つまり不死者にすることができる力だよね」
ヒューゴの姿を認めてから、アルリットはにこりと微笑んだ。
「アルリット、このまま『強奪』するのか?」
「うん。利用価値がありそうだし」
リディアの疑問に、アルリットは朗らかにそう応えた。
「それにケイのように生き返ったら困るからね」
重要な任務に失敗し、アルリットに殺害された後、慧はヒューゴの手によってアンデット、つまり不死者として蘇っている。
だからこそ、アルリットはヒューゴが再び、別の者を蘇させてくると踏んでいた。
「『破滅の創世』様の神の権能の力に目を付けて、私欲のために利用している愚か者」
銀髪の少女――リディアが発した戦意の言葉は、刹那の迷いすらなかった。
最強の力を持つとされる神『破滅の創世』を人という器に封じ込め、神の力を自らの目的に利用する。その一族の行為は『破滅の創世』のみではなく、他の神全てに対しての裏切りだ。
『破滅の創世』の配下であるリディア達にとって決して看過できない行為だった。
「不死だと言ったな。その言葉、改めて確かめさせてもらうよ」
リディアはそのまま無造作に右手を斜め上に振り払う。
「――っ! ……凄まじいねぇ」
たったそれだけの動作で、リディアはヒューゴとその周囲の者達を楽々と弾き飛ばした。
喰らった力の凄まじさはヒューゴがうめき、身動きが取れなくなるほどだ。
だが――。
「何故、貴様はそんなに余裕があるんだ?」
「さあ、なんでだろうな」
状況が掴めないリディアに応えるように、ヒューゴは不敵に笑った。