「うわあああっーー!!」
「やばいぞ!! 逃げろーー!!」
飛行機の機内は大混乱に陥っていた。
奏多達以外の乗客は、身を焼くような焦燥に駆られる。
大急ぎで別の場所へと移動していく。
『破滅の創世』の配下達――。
それは人智の及ぶ存在ではない。
それは人の営みに害し得る、あるいは人の営みで抗し得る存在ではない。
それは生まれついた時から絶対的である。
其は神の愛し子。
――『破滅の創世』の配下達がそんな風に謳われたのは問答無用の真理としてただ、偉大であったからに違いない。
そんな相手に胸を掻きむしられる想いで対峙する者も居ただろう。
『破滅の創世』の配下達は胸の内に恐るべき憎悪を滾らせていたのだから――。
「観月、被害を出さないためにも、ここで何としても食い止めるぜ!」
「分かったわ」
様々な思いが過りつつも、慧と観月は動き出す。
「三つ巴の戦い。『破滅の創世』の配下達、一族の上層部、どちらも味方ではないわ。この混乱した状況を利用して、奏多様を狙ってくるかもしれない」
そこに疑いを挟む余地はない。
観月が口にしたその言葉が全てを物語っていた。
「そうだね。あたし達が今回、遂行することは『破滅の創世』様を拠点にお連れすること」
その一言一句に恐怖に駆られ、顔を強張らせる観月。
「なら、楽しませてもらうとするかねぇ」
逆にヒューゴは喜ばしいとばかりに笑んでいる。
「『破滅の創世』様が示した悲憤の神命。それは絶対に成し遂げなきゃならないことだから」
その為に動いている。
そう――目的はたった一つだけ。
遥か彼方より、『破滅の創世』の配下達の望みはそれだけだった。
だからこそ、大願とも呼べるその本懐を遂げるために一族の上層部をも利用しただけに過ぎないのだ。
静寂が満ちた。
一族の上層部にとって、最大の誤算は『破滅の創世』の配下達の存在だった。
彼女達さえいなければと思うことは幾度も起こり、そして今もまた起ころうとしている。
それでも戦うことを、挑むことをやめないのは、それが一族の上層部の矜恃に連なるものゆえか。
「不死能力。その能力、素晴らしいね。ねー、そこにいる、一族の上層部さん」
「……へえー。冬城聖花の時と同じように、俺の能力に目をつけたってわけか」
アルリットの目に宿った殺意を前にしても、ヒューゴは余裕綽々という感情を眸に乗せる。
一触即発な空気が流れる中。
「おっと、その前に浅湖慧、おまえに伝言があったんだ」
「ちっ、亡霊にしたこと以外に何かあるのか?」
「伝言?」
慧と観月の反応も想定どおりだったというように、ヒューゴの楽しそうな表情は変わらない。
「やばいぞ!! 逃げろーー!!」
飛行機の機内は大混乱に陥っていた。
奏多達以外の乗客は、身を焼くような焦燥に駆られる。
大急ぎで別の場所へと移動していく。
『破滅の創世』の配下達――。
それは人智の及ぶ存在ではない。
それは人の営みに害し得る、あるいは人の営みで抗し得る存在ではない。
それは生まれついた時から絶対的である。
其は神の愛し子。
――『破滅の創世』の配下達がそんな風に謳われたのは問答無用の真理としてただ、偉大であったからに違いない。
そんな相手に胸を掻きむしられる想いで対峙する者も居ただろう。
『破滅の創世』の配下達は胸の内に恐るべき憎悪を滾らせていたのだから――。
「観月、被害を出さないためにも、ここで何としても食い止めるぜ!」
「分かったわ」
様々な思いが過りつつも、慧と観月は動き出す。
「三つ巴の戦い。『破滅の創世』の配下達、一族の上層部、どちらも味方ではないわ。この混乱した状況を利用して、奏多様を狙ってくるかもしれない」
そこに疑いを挟む余地はない。
観月が口にしたその言葉が全てを物語っていた。
「そうだね。あたし達が今回、遂行することは『破滅の創世』様を拠点にお連れすること」
その一言一句に恐怖に駆られ、顔を強張らせる観月。
「なら、楽しませてもらうとするかねぇ」
逆にヒューゴは喜ばしいとばかりに笑んでいる。
「『破滅の創世』様が示した悲憤の神命。それは絶対に成し遂げなきゃならないことだから」
その為に動いている。
そう――目的はたった一つだけ。
遥か彼方より、『破滅の創世』の配下達の望みはそれだけだった。
だからこそ、大願とも呼べるその本懐を遂げるために一族の上層部をも利用しただけに過ぎないのだ。
静寂が満ちた。
一族の上層部にとって、最大の誤算は『破滅の創世』の配下達の存在だった。
彼女達さえいなければと思うことは幾度も起こり、そして今もまた起ころうとしている。
それでも戦うことを、挑むことをやめないのは、それが一族の上層部の矜恃に連なるものゆえか。
「不死能力。その能力、素晴らしいね。ねー、そこにいる、一族の上層部さん」
「……へえー。冬城聖花の時と同じように、俺の能力に目をつけたってわけか」
アルリットの目に宿った殺意を前にしても、ヒューゴは余裕綽々という感情を眸に乗せる。
一触即発な空気が流れる中。
「おっと、その前に浅湖慧、おまえに伝言があったんだ」
「ちっ、亡霊にしたこと以外に何かあるのか?」
「伝言?」
慧と観月の反応も想定どおりだったというように、ヒューゴの楽しそうな表情は変わらない。