「あれは、どういう意味なんだろう……?」

奏多がどれだけ考えても、その答えに繋がる説明をつけることができなかった。
その真実は、何処にいるとも知れない『破滅の創世』の配下達だけが知っている。
ただ――

「『破滅の創世』の幹部か」

レン達のことを思い出していると、まるで意識が吸い込まれそうになる。
今の奏多にとって、まるで揺りかごのようにどこよりも近く、どこよりも遠い場所に『破滅の創世』の配下達の存在があった。

「何だか、懐かしいような気がする……」

胸から溢れる気持ちをそのままに。
それは奏多が零した確かな想いの吐露であった。
その時、インターフォンが鳴り響く。

「誰か来たのか?」

奏多は部屋に鳴り響いたインターホンの音に意識を傾ける。

「あら? 誰かしら?」

奏多の母親が応答するため、インターホンがある部屋へと向かう。
そして、奏多の母親は揺らぐことのない声で問いかけた。

「……はい、どなたですか?」
「突然のご訪問、申し訳ございません。緊急にお伝えしたいことがあります」

インターホンから、司と思われる声が聞こえてきた。
奏多は奏多の母親に連れられて、玄関へと赴く。
そして玄関へと向かうと、ドアを開けて司を出迎える。

「奏多様。突然のご訪問、誠に申し訳ございません。今回、お伝えしたいことがあり、お伺いさせて頂きました」

そこには司だけではなく、『境界線機関』の者達がいた。

「奏多くん、大変です!」
「結愛……どうかしたのか?」

疑問に思う中、奏多はさらにその場に結愛、そして慧と観月がいることに気づいた。

「よく分からないのですが、私達、一族の上層部の本部に行くことができるかもしれないんです」

奏多の疑問に、結愛は置かれた状況を説明する。

「一族の上層部の本部に?」
「はい、奏多様」

片膝をついた司は改めて奏多の意向を確かめる。

「俺はこれから、一族の上層部の本部へと足を運びます。赴くのは俺と『境界線機関』の者達のつもりでしたが、その間、『破滅の創世』の配下達が何か手を回してこないとは限らない」

司は確かな事実を口にした。

「『破滅の創世』の配下達の狙いは奏多様です。恐らく、何らかの形で接触してくるものと思われます」

この状況下で司達、『境界線機関』の者達が奏多を守るためには迅速な対応が求められた。

「俺達は『破滅の創世』様を守護する任務を帯びている。それでも、俺は奏多様の意思を尊重したい」
「俺の意思を……?」

付け加えられた言葉に込められた感情に、奏多ははっと顔を上げた。