「ここで何としても食い止めるぞ!」
死と隣り合わせの戦場から得られる経験は、訓練とは違った恐怖を伴うものであるが故なのだろう。
生き残らねばという執着が『境界線機関』の者達を支配していた。
それは消極的なものではなく。むしろ闘争心に火をつけるものであった。
「間に合ってよかった」
「……まさか、おまえがここに来るとは思わなかったぜ。司」
安堵した慧の声音に、司は汗を拭った。
「この場にいた『境界線機関』の仲間が教えてくれたんだよ。奏多様に危険が迫っているってことを」
それはただ事実を述べただけ。
だからこそ、余計にレン達は置かれた状況に打ちのめされる。
レンの攻撃によって、意識を失うその前。
『境界線機関』の者の一人が操作していた機械は、司達に救難信号を知らせる発信器だった。
「『境界線機関』、思っていたよりも手強いですね」
レンはそのことを見逃していたことを悔やむ。
「一進一退だったとはいえ、リディアとヒュムノスがいる状況下でここに来るとは。少し見くびっていたようです」
レンは『境界線機関』という脅威を少し軽視していた。
これが現在の状況に追い込まれた要因の一つだろう。
「『破滅の創世』様、必ずや一族の呪いからお救いいたします」
レンが発した決意の言葉は、刹那の迷いすらなかった。
そう――もうすぐで手が届くのだ。
『破滅の創世』の配下達にとって、唯一無二の願い。
神として生きたい。
それを奏多が選ぶだけで――。
『破滅の創世』が示した神命。それは絶対に成し遂げなくてはならない。
遥か彼方より、望みはたった一つだけだった――。
『破滅の創世』の配下達は主が御座す世界を正そうとする。その御心に応えるべく献身していた。
それはこのまま『破滅の創世』を人という器に封じ込め続け、神の力を自らの目的に利用するという一族の上層部の悲願とは相反するものだった。
しかし、今、この場には奏多にとって大切な存在である結愛がいる。
そして、『境界線機関』のリーダー、司とその大部隊がいる。
この状況を変革させる手段を用いようとしていたレンにとっては望ましくない状況だった。
「これなら……」
「何とか、なっちゃいます」
結愛が喜色満面にうなずくと、奏多は手を上げる。
バチンとハイタッチすると、心まで軽くなるような気がした。
「でも、『破滅の創世』の配下達の狙いは俺だ。何とかしないと……」
改めて戦局を見据えた奏多は置かれた状況を重くみる。
その時、奏多は異変に気づいた。
死と隣り合わせの戦場から得られる経験は、訓練とは違った恐怖を伴うものであるが故なのだろう。
生き残らねばという執着が『境界線機関』の者達を支配していた。
それは消極的なものではなく。むしろ闘争心に火をつけるものであった。
「間に合ってよかった」
「……まさか、おまえがここに来るとは思わなかったぜ。司」
安堵した慧の声音に、司は汗を拭った。
「この場にいた『境界線機関』の仲間が教えてくれたんだよ。奏多様に危険が迫っているってことを」
それはただ事実を述べただけ。
だからこそ、余計にレン達は置かれた状況に打ちのめされる。
レンの攻撃によって、意識を失うその前。
『境界線機関』の者の一人が操作していた機械は、司達に救難信号を知らせる発信器だった。
「『境界線機関』、思っていたよりも手強いですね」
レンはそのことを見逃していたことを悔やむ。
「一進一退だったとはいえ、リディアとヒュムノスがいる状況下でここに来るとは。少し見くびっていたようです」
レンは『境界線機関』という脅威を少し軽視していた。
これが現在の状況に追い込まれた要因の一つだろう。
「『破滅の創世』様、必ずや一族の呪いからお救いいたします」
レンが発した決意の言葉は、刹那の迷いすらなかった。
そう――もうすぐで手が届くのだ。
『破滅の創世』の配下達にとって、唯一無二の願い。
神として生きたい。
それを奏多が選ぶだけで――。
『破滅の創世』が示した神命。それは絶対に成し遂げなくてはならない。
遥か彼方より、望みはたった一つだけだった――。
『破滅の創世』の配下達は主が御座す世界を正そうとする。その御心に応えるべく献身していた。
それはこのまま『破滅の創世』を人という器に封じ込め続け、神の力を自らの目的に利用するという一族の上層部の悲願とは相反するものだった。
しかし、今、この場には奏多にとって大切な存在である結愛がいる。
そして、『境界線機関』のリーダー、司とその大部隊がいる。
この状況を変革させる手段を用いようとしていたレンにとっては望ましくない状況だった。
「これなら……」
「何とか、なっちゃいます」
結愛が喜色満面にうなずくと、奏多は手を上げる。
バチンとハイタッチすると、心まで軽くなるような気がした。
「でも、『破滅の創世』の配下達の狙いは俺だ。何とかしないと……」
改めて戦局を見据えた奏多は置かれた状況を重くみる。
その時、奏多は異変に気づいた。