「――全力で奏多様と結愛を守ってみせるわ!」
拳を握り締めた観月は手加減はしないと意を決する。
観月は信じている。奇跡が起こることを。
奏多達が定められた運命を壊してくれることを。
だからこそ、観月はカードを操り、約定を導き出す。
「降り注ぐは星の裁き……!」
その刹那、立ちはだかる一族の上層部の内密者達へ無数の強大な岩が流星のごとく降り注ぐ。
カードから放たれた無数の強大な岩は一族の上層部の内密者達を突き立てていった。
観月の力を厄介だと判断した彼らは銃弾を打ち込もうとするものの――
「そうはさせるかよ!」
包囲網から解放された奏多が動く。
不可視のピアノの鍵盤のようなものを宙に顕現させて、それを阻害した。
「『破滅の創世』様……!」
「おっと、アルリット。それ以上は行かせねえぜ!」
「行かせないわ!」
そう吐露したアルリットの前に、慧と観月が並んで立ち塞がる。
「どんな困難が立ち塞がっても、私達は前に進んでみせるわ!」
「うん、そうだね。でも、それはあたし達も同じ。どんな困難が立ち塞がっても、あたし達は『破滅の創世』様を救ってみせるよ」
観月が抱いた決意に、アルリットは嬉々として応えた。
「どんな言葉を用いて、『破滅の創世』様を惑わそうとしても無駄! あたし達、『破滅の創世』様のためなら何でもするよ!」
アルリットの胸から湧き上がってくるのは鋭く尖った憤りのみ。
『破滅の創世』の言葉の完遂のためにただ、狂おしく誓うだけ。
同時にそれは彼女達が不退転の反撃を示す最大の難所であることを意味していた。
大切なものは何時だって、その手をすり抜けて溢れていく。
だから――
これ以上は失いたくはない。失わないように、全部、守らなくてはいけない。
「私はもう逃げない。全力であなた達を止めてみせるわ!」
観月はありったけの力をカードに注ぎ込みながら、まっすぐにアルリットの向こう側を見据えた。
視線が向かう先は、司達が戦闘を繰り広げている場所だ。
彼らの戦いを無駄にしないためにも、ここで立ち止まっている暇はないのだから。
「……っ」
その時、結愛の掠れた声が聞こえた。どうやら意識を取り戻したようだ。
「結愛、大丈夫か?」
「…………奏多くん?」
自身の置かれた状況を理解した結愛は頬を赤らめる。
意識が覚醒する微かな酩酊感は、思いもよらず近くからかけられた奏多の声によって一瞬で打ち消されたからだ。
「ふええ、大丈夫ですよ。奏多くんこそ、大丈夫ですか?」
結愛は奏多の顔を覗き込むようにして身を乗り出してくる。
吐息が感じられそうなくらい近い二人の距離。その近さに今度は奏多が思わず、瞬きした。
拳を握り締めた観月は手加減はしないと意を決する。
観月は信じている。奇跡が起こることを。
奏多達が定められた運命を壊してくれることを。
だからこそ、観月はカードを操り、約定を導き出す。
「降り注ぐは星の裁き……!」
その刹那、立ちはだかる一族の上層部の内密者達へ無数の強大な岩が流星のごとく降り注ぐ。
カードから放たれた無数の強大な岩は一族の上層部の内密者達を突き立てていった。
観月の力を厄介だと判断した彼らは銃弾を打ち込もうとするものの――
「そうはさせるかよ!」
包囲網から解放された奏多が動く。
不可視のピアノの鍵盤のようなものを宙に顕現させて、それを阻害した。
「『破滅の創世』様……!」
「おっと、アルリット。それ以上は行かせねえぜ!」
「行かせないわ!」
そう吐露したアルリットの前に、慧と観月が並んで立ち塞がる。
「どんな困難が立ち塞がっても、私達は前に進んでみせるわ!」
「うん、そうだね。でも、それはあたし達も同じ。どんな困難が立ち塞がっても、あたし達は『破滅の創世』様を救ってみせるよ」
観月が抱いた決意に、アルリットは嬉々として応えた。
「どんな言葉を用いて、『破滅の創世』様を惑わそうとしても無駄! あたし達、『破滅の創世』様のためなら何でもするよ!」
アルリットの胸から湧き上がってくるのは鋭く尖った憤りのみ。
『破滅の創世』の言葉の完遂のためにただ、狂おしく誓うだけ。
同時にそれは彼女達が不退転の反撃を示す最大の難所であることを意味していた。
大切なものは何時だって、その手をすり抜けて溢れていく。
だから――
これ以上は失いたくはない。失わないように、全部、守らなくてはいけない。
「私はもう逃げない。全力であなた達を止めてみせるわ!」
観月はありったけの力をカードに注ぎ込みながら、まっすぐにアルリットの向こう側を見据えた。
視線が向かう先は、司達が戦闘を繰り広げている場所だ。
彼らの戦いを無駄にしないためにも、ここで立ち止まっている暇はないのだから。
「……っ」
その時、結愛の掠れた声が聞こえた。どうやら意識を取り戻したようだ。
「結愛、大丈夫か?」
「…………奏多くん?」
自身の置かれた状況を理解した結愛は頬を赤らめる。
意識が覚醒する微かな酩酊感は、思いもよらず近くからかけられた奏多の声によって一瞬で打ち消されたからだ。
「ふええ、大丈夫ですよ。奏多くんこそ、大丈夫ですか?」
結愛は奏多の顔を覗き込むようにして身を乗り出してくる。
吐息が感じられそうなくらい近い二人の距離。その近さに今度は奏多が思わず、瞬きした。