「消し滅ぼす」
ヒュムノスが招くのは無慈悲に蹂躙する雷光。
その暴虐の光は排斥の意図もろとも部隊を飲み込んだ。
崇高なる神――尊き主の御座が、罪と偽りに満ちた世界であることが許されるだろうか。
そう訴えるように――。
「理解できないな。無駄だと分かっていながら、わたし達に歯向かうとは」
リディアはそのまま無造作に右手を斜め上に振り払う。
たったそれだけの動作で、地面が大きく穿つ。
その凄まじさは大地が裂かれ、瓦礫が崩れ落ちるほどだ。
「みんなを守ってみせる!」
「はい、奏多くん!」
奏多と結愛は不撓不屈の意思を示す。
身体を張って前に出ると、慧達の加勢をするために動いていった。
絶え間ない攻撃の応酬。だが、神獣達は再生を繰り返す。
「もちろん、倒すことが目的でないさ。ここで食い止めることだ!」
神獣達の嘶きを前にしても、慧は恐れることはない。
そこに慧の銃口から煌めく陽光を斬り裂くように、乾いた音を立てて迫撃砲が放たれる。
七発ほどの弾頭が放物線を描き、すぐに爆音が轟いた。
「行くぜ、観月。俺達の目的を果たすためにも……力を貸してくれ!」
慧は強い瞳で前を見据える。
それは深い絶望に塗(まみ)れながらも前に進む決意を湛えた眸だった。
何一つ連中の思いどおりなど、させてやるものかと。
「もちろんよ」
他に言葉は不要とばかりに、観月は優しい表情を浮かべていた。
二人の誓いはたった一つ。
奏多と結愛を護るためにこの状況を打開すること――一族の上層部の野望を挫(くじ)くために絶望の未来になる連鎖を断ち切ることだ。
奏多と結愛の身を護るために、二人がこの現状から一歩踏み出した、その刹那――
「レンが言ったとおり、本当にここにいたねー」
不意にこの場にそぐわない朗らかな声が響く。
慧と観月が慌てて振り向くと、そこには二つの影があった。
その一人は――
「あ……」
紫の瞳と銀色の髪が特徴的な少女。
ドレスを思わせる衣装は青や紫色の花をあしらわれ、常に柔らかな微笑を湛えている。
「冬城聖花……どうして……」
カードを手にした観月は恐れおののくように、その名を呼んだ。
「冬城聖花が、この場にいるのは不思議な現象だな。まぁ、少なくとも本物ではないみたいだ」
そう語りかける慧は揺るがない意思を表情に湛えていた。
何故なら――
「お初にお目にかかります。川瀬奏多様……いえ、お久しぶりです。『破滅の創世』様」
「久しぶり……?」
奏多の姿を認めてから、レンが懐かしむように恭しく礼をしたからだ。
ヒュムノスが招くのは無慈悲に蹂躙する雷光。
その暴虐の光は排斥の意図もろとも部隊を飲み込んだ。
崇高なる神――尊き主の御座が、罪と偽りに満ちた世界であることが許されるだろうか。
そう訴えるように――。
「理解できないな。無駄だと分かっていながら、わたし達に歯向かうとは」
リディアはそのまま無造作に右手を斜め上に振り払う。
たったそれだけの動作で、地面が大きく穿つ。
その凄まじさは大地が裂かれ、瓦礫が崩れ落ちるほどだ。
「みんなを守ってみせる!」
「はい、奏多くん!」
奏多と結愛は不撓不屈の意思を示す。
身体を張って前に出ると、慧達の加勢をするために動いていった。
絶え間ない攻撃の応酬。だが、神獣達は再生を繰り返す。
「もちろん、倒すことが目的でないさ。ここで食い止めることだ!」
神獣達の嘶きを前にしても、慧は恐れることはない。
そこに慧の銃口から煌めく陽光を斬り裂くように、乾いた音を立てて迫撃砲が放たれる。
七発ほどの弾頭が放物線を描き、すぐに爆音が轟いた。
「行くぜ、観月。俺達の目的を果たすためにも……力を貸してくれ!」
慧は強い瞳で前を見据える。
それは深い絶望に塗(まみ)れながらも前に進む決意を湛えた眸だった。
何一つ連中の思いどおりなど、させてやるものかと。
「もちろんよ」
他に言葉は不要とばかりに、観月は優しい表情を浮かべていた。
二人の誓いはたった一つ。
奏多と結愛を護るためにこの状況を打開すること――一族の上層部の野望を挫(くじ)くために絶望の未来になる連鎖を断ち切ることだ。
奏多と結愛の身を護るために、二人がこの現状から一歩踏み出した、その刹那――
「レンが言ったとおり、本当にここにいたねー」
不意にこの場にそぐわない朗らかな声が響く。
慧と観月が慌てて振り向くと、そこには二つの影があった。
その一人は――
「あ……」
紫の瞳と銀色の髪が特徴的な少女。
ドレスを思わせる衣装は青や紫色の花をあしらわれ、常に柔らかな微笑を湛えている。
「冬城聖花……どうして……」
カードを手にした観月は恐れおののくように、その名を呼んだ。
「冬城聖花が、この場にいるのは不思議な現象だな。まぁ、少なくとも本物ではないみたいだ」
そう語りかける慧は揺るがない意思を表情に湛えていた。
何故なら――
「お初にお目にかかります。川瀬奏多様……いえ、お久しぶりです。『破滅の創世』様」
「久しぶり……?」
奏多の姿を認めてから、レンが懐かしむように恭しく礼をしたからだ。