すぐに来光くんが何の話をしているのか察しがついた。

先日偶然会った来光くんの友達たちが関係しているんだろう。



「いやぁ、なんか皆まで巻き込んじゃって申し訳ないなって。あの日、僕さっさと先に帰ったし嫌な感じだったでしょ。なのに嘉正とかさ、賢いからいろいろ察してなんにも聞いてこないし。あの馬鹿二人も勝手に何か感じ取ったのか知らないけど気遣ってきて。いやほんと、情けないやらお恥ずかしいやら」



早口になるのは言いたくないことを言っている時で、隠したいことがあるから。

自分もそうだったからよく分かる。夏休み、神修を辞めるかどうかで悩んでいた時と今の来光くんは少し似ている気がした。



「無理に話さなくていいよ」



来光くんが戸惑うように顔を上げた。



「言いたくないことは話さなくていいよ。でも来光くんが話したくなったらいつでも聞くし、みんなも同じように言うと思うよ」


多分今の来光くんには時間が必要で、私たちが出来ることはそれを傍で見守ることなんだろう。

来光くんが目を丸くした。瞳がきらりと光って、俯くように頷く。



「もうちょっと……待ってもらっていい? でも、聞いてほしい、かも」



うん、と笑って頷けば、来光くんの表情が少し晴れたような気がした。