電車に揺られて三十分、私たちは調査対象である西院高校の校門前に降り立った。
見上げた建物は黒ずんで汚れた白壁の四階建ての建物だ。等間隔に窓が並んで、建物の真ん中辺りがぽこっと抜け出していて、はめ込まれた大きな時計が動いている。一階の正面が下足場になっていて入口の上にはバレー部が大会で優勝したことを祝うスローガンが垂れていた。
公立の学校を思い浮かべればみんなこんな感じの建物を思い浮かべるだろうと思えるほどの、どこにでもある校舎だった。
最終下校の19時30分から1時間近く経っているので、敷地内に人影はない。
「なんか味気ねぇな、この校舎」
慶賀くんがそう呟く。
確かに神修の敷地内にある建物はどれも神社のお社と同じ作りだ。
それと比べればちょっと物足りないようにも感じるだろう。
その時、下足場のガラス扉が開いてスーツ姿のほっそりした男性が小走りでこちらへ近付いてくるのが見えた。
禰宜が頭を下げたので、私達もそれに習って頭を下げる。
その人の顔が電灯に照らされて、やがて昼間に社へ尋ねてきた校長先生だと気が付く。
近くで見ると昼間見かけた時よりもほっそり────いや、げっそりして見える。