爆発させるのが大前提な慶賀くんにも問題はあるが、確かにその通りだ。
薫先生の実家の社"わくたかむの社"は審神者が仕えるかむくらの社についで歴史が長い。この界隈では一番権力のあるお社だ。
その家の次男として生まれたならば、年末年始にのんびりしていられるはずがない。
『来光と同じで俺も実家とは絶縁中────みたいな感じだからねぇ。そもそも俺の事は当てにしてないと思うし、普段忙しいんだから年末年始くらいゆっくりしたいじゃん?』
『薫先生……まさか実家の本殿爆破させたことあんの?』
『あはは、慶賀と同じにしないでよ〜。ていうか爆破じゃなくて吹き飛ばしただけだし、稽古場』
吹き飛ばしたんかい、と来光くんと慶賀くんの声が揃う。
とその時、ポロンとグループ通話にもう一人入ってきたことを知らせる電子音が鳴る。
『お、嘉正が入ってきた! 間に合った!』
『みんな久しぶり。間に合った、てことはこれ"一緒に年越しする会"みたいな感じ?』
『ご明察! 嘉正も今年の奉仕終わったの?』
『終わるわけないでしょ。三箇日明けるまでフル稼働だよ。今は休憩中』
疲れた声の嘉正くんを皆で労う。