「今渡したその紙に詳細が書いてありますんで、上から一緒に確認していきましょう」


「仮件名:公立高校における不可解事件の多発について」という一行目から始まり、その下にはおそらく依頼者の話がそのまま書き連ねられたのであろうまとまりのない文が続いていた。

第一担当者の所見という箇所には「怪異の可能性あり、修祓前に要現地調査」とある。現担当者には私たち6人の名前が書かれていた。



「ここからバスで30分ほどのところにある西院高校という公立の高等学校が調査対象です。依頼主は西院高校の校長先生で、本日昼頃にご相談に来られました」


そういえば昼休みが終わって社務所へ向かう途中、社頭を歩くスーツのおじさんを見かけた。風で吹き飛ばされそうなほどほっそりした人で顔色がかなり悪く、印象的だったからよく覚えている。


「内容はこの後各自で確認してください。まぁ簡単に言いますと、学校で起きている怪異をどうにかしてほしい────ということです」


学校、怪異。

脳裏に「学校の七不思議」なんてものがふと思い浮かんだけれど、きっとそんな可愛いものじゃないんだろう。神社へ相談に来るくらいだ、きっと学校内ではかなりの騒ぎになっているはずだ。