それから数日たったある日。
いつも通り夕拝後に志らくさんの鼓舞の明マスター講座を受けていると「失礼しまーす」と神楽殿の扉が開く。
立っていたのは来光くんだった。
この時間に出かけていないのは珍しいと思ったけれど、そういえば今日は居間のテレビにプレステを繋いでバイオ2をみんなで攻略するんだと息巻いていたっけ。
「志らく巫女すみません。禰宜が僕たちのこと呼んでて、巫寿ちゃん連れて行ってもいいですか?」
禰宜が?
私達の奉仕時間は終わっているし、一体何の用だろう。
「ええよ〜、ちょうど終わるところやったし。ほな巫寿ちゃん、また明日な」
「はい。ありがとうございました」
姿勢を正して頭を下げると、小走りで来光くんに駆け寄った。
雪駄をつっかけて外に出る。来光くんの隣に並びながら尋ねた。
「禰宜が呼んでるって、どうしたの?」
「それがよく分かんないんだよね、僕も千江さんから聞いて。とにかく社務所に集合だって」
「他のみんなは?」
「先に行ってる、急ごう」
うん、と頷き足を早めた。