「な、何やねんこいつら」
「意味わからんし、キッショ!」
「シラケるわほんま」
男の子たちは不機嫌そうに顔を歪めると私たちにそう吐き捨てる。
行こ、とお互いに顔を見合せてすたすたと歩き出した。
五人のうちの一人、ずっと彼らの後ろに立っていた眼鏡をかけた少しぽっちゃりした男の子が、来光くんをじっと見つめている。何か言いたげで、何かに怒っているようなその表情だった。
「おいデブ! さっさと来ぃや!」
先に歩いていった四人が振り返って叫んだ。
彼は一瞬泣きそうな顔をして、ぐっと堪えるように唇を噛み締めると走り出した。
「あっ、逃げるな! 待たんかいワレェ!」
慶賀くんが追いかけようとして、「もういいから!」と来光くんがその腕を掴んだ。
俯いたまま慶賀くんの腕をぎゅっと掴む。その肩が震えているのが分かった。
「来光……?」
「大丈夫か?」
「来光?」
皆が不安そうに来光くんの周りを囲む。
来光くん?と私も顔をのぞきこんだその時、「ブハッ」と吹き出した来光くんが顔を上げたかと思うとお腹を抱えてゲラゲラ笑いだした。