男の子のひとりが来光くんの背中を叩いた。手加減のないその勢いに来光くんがつんのめる。表情が強ばったのが見えた。
私が声をあげるよりも先に、他のみんなが前に出た。
嘉正くんが来光くんの手を優しく引いてこちらに引き戻す。険しい顔で彼らを睨んだ。
「君たち来光の友達? でも友達なら何でもしていいって考えはかなり浅はかだよ」
凛としてそう言い切る嘉正くんに、彼らの表情が曇る。
「は? 何コイツ」
「どちらさん? 部外者は黙っといてくれへん?」
彼らの声のトーンに呪が混じった。嘉正くんの隣に、慶賀くんと泰紀くんが並ぶ。二人は目を釣りあげてへの字口で顎を突き出した。
「おうおうおう、誰が部外者だって? 来光は俺らの友達だつーの」
「何やねんワレェ、喧嘩売っとんかボケェ、やんのかアァン?」
「慶賀、今は違う」
慶賀くんの微妙な関西弁に嘉正くんが冷静につっこんだ。
「昔の友達かもしれないけど、今は俺らの友達だ。友達に危害を加えられて黙って見てる訳ないでしょ」
「お前ら、親しき仲にも礼儀ありって言葉知らねぇのか? 知っててやってんなら、それはそれでクズだけどな」
「一昨日来やがれやなんやでぇ!」
「だから慶賀、今は違う」
三人が慶賀くんの前に並んだ。
私も震える来光くんの背中にそっと手を当てて彼らを睨んだ。