そういう訳で二日目と三日目はひたすら神楽殿の天井を見つめるだけで一時間が終わった。
二日間見つめ続けて分かったことといえば、神楽殿の天井は埃がひとつもないということだけだった。
どうやって掃除をしているんだろう。
「……まぁそんな感じで、まだ何の進捗もなくて」
「鼓舞の明ってそんな感じなんだな。俺何も持ってなくて良かったわ」
泰紀くんが「ひぇ〜」と大袈裟に自分の体を抱きしめて肩を竦めた。
すんなりと使えるようになるとは思っていなかったけれど、まさかこんなにもお先真っ暗だとは。
はぁ、と肩を落とす。
志らくさんは『私も使えるようになるのに五年かかったし気長にやろ』と励ましてくれたけれど、五年という数字にもまた気が遠のきそうになった。
昇階位試験に間に合えばいいな、なんてぼんやりと考えていた少し前の自分に膝詰めで説教したい。
「まぁ巫寿ってコツが掴めたら早いじゃん! そう気を落とすなよ!」
慶賀くんが励ますように私の背中を叩いた。
ありがとう、と力なく笑う。