「どんな授力を持っているのかを届け出るんだよ。授力によっては個別で仕事が来たりするんだって。僕は学生だからまだ一度もないけど、将来的には御守とか御札を書く依頼が沢山来るんだって」
へぇ、と目を丸くする。
そういうシステムもあるんだ。
私は言霊の力の保有者届けも出されていなかったらしいから、おそらく授力保有者の届けも出されていないだろう。
届けは出した方がいいんだろうか?
今度機会があれば禄輪さんへ聞いてみよう。
「なるほどな、じゃあ巫寿は志らく巫女と鼓舞の明を使う練習をしてたってわけか」
「練習……練習、なのかな?」
「え、違うの?」
怪訝な顔をした慶賀くん。
私は眉間に皺を寄せて首を傾げる。
ここ数日の志らくさんとの稽古内容を思い出す。
一日目は本当に普通だった。神楽の授業で富宇先生に巫女舞を習っている時と同じで、決められたステップをひたすら覚える作業だ。
様子がおかしくなったのは二日目からだ。
『さぁ、感じるんや巫寿ちゃん! あんたの中に眠る鼓舞の明の真髄を!』
両手をばっと広げて天を仰いだ志らくさんに首を傾げる。