「────え! 巫寿ちゃんも授力持ちだったの!?」



3日前から始まった志らくさんとの「鼓舞の明マスター講座」。

志らくさんが会社から帰宅し夕拝を済ませたあと、神楽殿で一時間ほど稽古をつけてもらっている。

しかし今日は夕方からのご祈祷の予約が詰まっていて忙しいらしく中止になったので、慶賀くんたちと街へ繰り出すことになった。


近くの駄菓子屋でお菓子を買ったあと河原を目指して歩いている時に、ふと「そう言えば巫寿、最近志らく巫女と何してるの?」と嘉正くんに尋ねられた。

言葉につまり少し悩んだ結果、「実は……」と自分が鼓舞の明を持っている事を打ち明けた。今黙っていても、二ヶ月間ほぼ毎日稽古をつけてもらっていればいずれはバレることだ。


驚いたみんなが声を上げる。来光くんはとりわけ驚いていた。



「うん、実はそうらしくて。黙っててごめんね」

「いやいや、謝らないで。空亡戦以降は授力持ちも自分の力を隠すような風潮になったしね」



嘉正くんが笑って手を振る。

その反応にほっと息を吐いた。



「本庁への保有者証明の届けも任意になったしね。僕は編入時に役員の口車に乗せられて提出したけど」



苦い顔をした来光くんが肩をすくめる。

聞きなれない単語に、保有者証明?と聞き返した。