び、びっくりした。
突然白目を剥いて後ろにひっくり返るんだもん。心臓に悪すぎる。
それでもひとまず何ともないようなので安心する。
寝落ちた志らくさんをどうしようかと首を傾げたその時、志らくさんの目がカッと見開いた。またヒィッと息を飲む。
「アカンアカンアカン、また落ちてしもた! やっぱ鼓舞の明は疲れんな! 巫寿ちゃんなんか甘いもん持ってる?」
むくりと起き上がった志らくさんはひとつ欠伸をこぼした。
「あ、あの……チョコなら……」
一学期に薫先生からお菓子を持ち歩くように言われてから常にポケットに入れるようにしている個包装のチョコをある分だけ差し出す。
「助かる〜。後で倍にして返すわな」
差し出した分を全て口に放り込んだ志らくさんはゴクリと飲み込むと「滾る〜ッ」と目をギラつかせた。
なんと言うかもう、目の前で色々起こりすぎて逆に何も言えない。
「鼓舞の明って、そんなに体力を消耗するんですか?」
「そうそう。私の感覚では一気に七割は持ってかれてるな」
「七割も!」
一気にそれだけ持っていかれたら、終わった瞬間に白目を剥いてひっくり返るのも納得だ。