「────後は御神酒用の日本酒を受け取れば終わりだね」


神社実習が始まって数日経ったある日の午後、私と来光くんは千江さんに頼まれて社務所の備品や神饌の買い出しに出かけていた。

流石に白袴に白衣で出かけるのは気が引けたので、二人とも神修の制服に着替えた。平日に制服で街中を歩いているのはなんだか不思議な感じだ。


買い物リストを確認してそう呟いた来光くん。



「御神酒のお店、名前なんだっけ? 私スマホで調べるよ」



両手に持っていた荷物を持ち変えようとして身じろぐと、「いや、大丈夫」と来光くんが片手を上げて制する。

勝手知ったる様子で歩みを進める来光くんに目を瞬かせた。



「道分かるの?」

「あー……うん」



視線を泳がせたあと、少し困ったように頭の後ろをかいた。

歯切れの悪い反応に首を傾げる。



「ここ、僕の地元なんだよね」

「えっと……?」

「神修来る前に、実の親と住んでたんだ。家はこの隣町なんだけどね」

「えっ、そうだったの!」



うん、と来光くんは苦笑いを浮かべた。