お母さんや禄輪さんのことを親しげに呼んだので、志らくさんも皆とは顔見知りらしい。
「よく見たら泉ちゃんといっくんによう似とるわ〜!」
手を伸ばした志らくさんは私の両頬を挟んでこねくり回す。
触られる分には問題ないのだけれど、志らくさんチキン掴んだ手まだ拭いてなかったような。
「志らくあんたそないベトベトな手で巫寿ちゃんのこと撫でくり回さんといて!」
台所から戻ってきた千江さんが志らくを引き剥がす。
「ベトベトって失礼な! 私の手はツルツルで……イヤァッ! 拭くの忘れてた!」
「ほんまこの子といい志ようといい……少しは女らしく出来んかねッ!」
ごめんな巫寿ちゃん、と傍にあった布で私の顔をゴシゴシと拭う志らくさん。
志らくさん、それ台布巾です。
そこから志らくさんはお母さんやお父さんたちの話をたくさん聞かせてくれた。
志ようさんとは歳が一回り以上離れているようで、神修で一緒に過ごしたのは志らくさんが初等部一年に入学し、お母さんたちが専科二年の年だけらしい。
でも長期休暇の時はお互いの家をよく遊びに行き来していたようで、よく世話になったのだという。