ほんならそろそろ夕拝しよか、吉祥宮司のその一言で神職さまたちがゾロゾロ立ち上がる。
「君らは明日からでええよ」
「そやな、見に来たい子だけ見においで。うちの夕拝は他とは少し違うから面白いで」
千江さんの言葉に面白い?と目を瞬かせる。
社を開く挨拶をするのが朝拝と夕拝の神事だ。本来は大祓詞を奏上した後、社頭にある全ての社殿を順に参拝する。神修でも平日は毎朝参加を義務付けられていた。
正直面白い事なんて何一つないはずなんだけれど、どういうことなんだろう。
みんな同じことが気になったのか「参加します」と箸を置いて立ち上がる。
「おお〜、今年の学生さんはやる気満々やね。ほんなら私も張り切らんとな!」
ふん、と鼻を鳴らして腕まくりをした志らくさんは「着替えてくる!」と居間を飛び出した。