初めて見た時は圧倒されたその景色にも、もう随分と見慣れたものだ。心地よい安心感さえ覚える。

私も新学期にここに立つ頃には「帰ってきたなぁ」と思うんだろう。


「おい巫寿」


名前を呼ばれて振り返る。恵衣くんが呆れた顔で私を見ている。



「置いていくぞ」



車の窓からは皆が「急げー!」と手を振っている。

思わず笑みがこぼれた。



「今行く……!」



そう大きく返事をして、みんなの元へ駆けだした。




【続く】