なんで怒られなかったんだろう? いや、もしかしたらこの後改めて時間を作ってお説教されちゃうんだろうか?

だとしたら今日は実家に帰れないかもしれない。お兄ちゃんには今日帰るって連絡しちゃったのに。

はぁ、とみんなのため息が重なる。


「あはは、何落ち込んでんの子供たち」


とん、と肩に手を乗せられて顔を上げる。

にやりと笑った薫先生と目が合った。


「薫先生! 俺ら遅刻したのに怒られなかったんだけど!」

「一周まわって気味悪ぃよ……」


そう嘆く慶賀くんと泰紀くんに、先生はカラカラと笑って二人の頭をぐりぐりと撫でた。


「安心しなよ。俺が伝えといたんだ、遅刻してもお咎めなしにしてくれるように。昨日は実技試験の後色々あったんでしょ? 遅くまで応援要請を手伝ってたって聞いて、先生カンドーしちゃった。偉い偉い」


嬉しそうに笑った薫先生に、「薫先生〜ッ!」と私たちは声をそ揃える。

そうか、怒られなかったのは薫先生の計らいだったんだ。おかけで無事今日中に実家へ帰れそう。


「あ、それと筆記試験の結果なんだけど、いつ聞きたい?」

「えっ、今! 今!」

「今聞きたいですッ!」

「あはは、だよね」


こほん、と咳払いをした薫先生にみんなが注目する。

ソワソワしながら身を乗り出した。