このまま席に着けば、遅刻したことはバレないはずだ。
「……お前らもうちょっと急────」
急に前を進んでいた慶賀くんが止まって背中に鼻をぶつけた。「うわっ」と声を上げると後ろを着いてきていた泰紀くんが「うお!?」と声を上げる。
「慶賀くん……? どう────」
したの?と聞こうとしたけれど続きの言葉は出てこなかった。
「景福巫女頭……」
眉をヒクヒクと釣り上げて腕を組んだ巫女頭が私達を見下ろしていた。
「お、おはようございます……」
慶賀くんが頬をひきつらせながら挨拶をする。
「おはようございます。皆さんぐっすり眠れたようで何よりです」
淡々とした声に皆がビキビキと固まる。もちろん私もだ。
終わった……。
みんなの心の声が揃う。
外に連れ出されて説教の上で罰則だ、そう息を吐いたその時。
「コソコソしていないでさっさと座りなさい。ほら早く!」
「は、はい!」
外に連れ出されるどころか、席に座るように促された。皆は戸惑いながらも空いた席に腰を下ろす。
巫女頭は一つ息を吐くと、私達から離れていく。その後ろ姿に皆は目を瞬かせた。
「ど、どういう事だ?」
「僕てっきり連れ出されて説教の上で掃き掃除の罰則だと思ったんだけど……」
「わ、私もそう思った」
うんうん頷くと「だよね!?」と来光くんが身を乗り出す。