「うわーッ!」

「ヤバいヤバいヤバい!!」

「お前らもっと本気で走れよ!!」


次の日の朝。私たち五人は大慌てでまねきの社へ続く階段を転がるように駆け下りていた。


「何で起こしてくれなかったんだよ嘉正ォ!」

「仕方ないじゃん俺も寝坊したんだから」

「皆揃って寝坊とか、どんだけ仲良いんだよ俺ら!」

「いいから走れ! 最終日まで罰則喰らいたいの!?」


それだけは嫌だ!とみんなの声が揃う。

本殿の屋根がようやっと見えてきた。


昨日、突然大雨の中救助活動に参加することになった私達は、疲れ果てて寮に帰ってきてそのまま眠ってしまった。

窓から差し込む日差しで目が覚めると、修了祭が始まる時間で大慌てで用意して部屋を飛び出す。そして私と全く同じ状況の皆と下足場で合流して今に至るという訳だ。

最終日に罰則なんて泣きたくなる。


本殿について靴を脱ぐと先頭を走っていた慶賀くんが「行くぞ!」と腰を屈める。

私もひとつ頷いて姿勢を低くした。

そっと扉を引くと、丁度生活指導の先生が話しているところだった。「シッ」と唇に人差し指を当てた慶賀くんが警戒しながら中へ入り込む。

みんなそれに続いて本殿の中へ入った。