そんな声が聞こえてハッと振り返ると、冷たい目を向ける恵衣くんと苦笑いの嘉正くんが立っていた。


「おかえり二人とも。どうだった?」

「うん、問題ない。二人とも両方合格」


拳を突き出した嘉正くんに、皆こつんとぶつけて称える。

良かった、これでみんな実技試験は合格────二人とも両方合格?


「俺と恵衣、薫先生に勧められて三級の実技試験も受けたんだよ」


ええっ!とみんなの驚く声が重なる。

三級というと高等部二年の終わりに受験する級だ。二人ともいつの間にそんな準備をしていたんだろう。


「とにかくこれで試験は終わりってことだよな!? いぇーい!」


諸手を挙げて喜ぶ慶賀くんに皆くすくすと笑う。

そうだ、とにかくこれで試験は終わったんだ。実技は無事に合格出来た。あとは戻って薫先生の仮採点の結果を聞けば、無事一年生が終了する。

長いようで短い一年だった。


「帰ったら来光の部屋でお疲れ様会しようぜ!」

「なんで僕の部屋なんだよ!」

「お前の部屋が一番広いし〜」

「絶対やだからね!?」


薫先生にお菓子もらいに行こうぜ、なんて作戦を立てながら待っていると、少しして私の試験監督をしていた神職さまが車の中へ戻ってきて私たちを見回した。


「皆さん、もう少しここで待機していてください。少しトラブルが起きました」