出だしは好調だ。このまま他も落ち着いて対応できれば、私一人でも何とかなるはずだ。でも喜んでる暇はない、さっさと次に進もう。
意気込んだその時。
「椎名巫寿さん、実技試験合格です。お疲れ様でした」
「え?」
振り返ると神職さまはバインダーに挟まれた私の評価シートを差し出した。
いくつか書き込みが増えていて、右上には丁寧な文字で「合格」という文字が記入されている。
何度か瞬きをして、評価シートと神職さまの顔を交互に見た。
「今回の試験内容は怪火の修祓でした。問題なく対応出来ていましたので合格です。他の学生の試験が終わるまで車で待機してください」
「あ、はい……」
車に向かって歩き出した神職さまの背中をぽかんと見つめる。
合格……本当に合格? こんなにあっさり合格できるものなの?
なんかこう、色んな祝詞を組み合わせて奏上したり、周囲を観察して残穢や妖の種類を特定したり、そういうのをイメージしてたんだけれど……。
思っていた試験と違いすぎて、肩の力が抜ける。
でもちゃんと合格できたんだし、"結果良ければ全て良し"だよね?
「良かったー……」
思わず天を仰いでそう呟いた。