神職さまは一息置くと私達にA4サイズの一枚の紙を配った。
実技試験評価表、と書かれたその紙には自分の名前といくつかのチェック項目が書かれている。
そして一番上の欄には────「試験形式:個人」。
「神職の数で気付いた方もいらっしゃると思いますが、今回の試験は個人で行ってもらいます。所定の場所へついたら、直ぐに開始します。配置された場所の状況を見極め、適切な処置を行ってください」
そんな、と泣きたくなる気持ちをグッとこらえる。
先輩たち曰く、試験形式は毎年個人とグループ交互で行われている。前回のテストが個人だったから今回はグループでの試験だろう、と。
グループ試験だと思っていたから「何とかなるだろう」と安心していたのに、まさか個人で試験だなんて。
「今年は個人かよ〜。嘉正と恵衣がいるから楽できると思ったのに」
「先輩達の予想外れたね。まぁどっちにしろ、勉強してきたことを発揮すればいいだけだし」
そう呟いた来光くんに少し驚いた。
だって少し前までは私と同じで"不安だからグループがいい"って言っていたのに。
でも確かにここ数日で、来光くんがめきめきと力をつけていくのを間近で見ていた。大きな経験を経てそれが来光くんの自信に繋がったんだろう。
他人を羨んでる場合じゃない。今から私ひとりで戦わないといけないんだから。
説明が終わってすぐに持ってきた教科書を広げた。