食堂でお昼ご飯を食べたあと、集合場所である車乗り場へ向う。
普段は車だけが置かれているそこには数人の神職がいて、屋形にはちゃんとご神馬さまも繋がれている。
「車で移動するのか?」
「どこ連れてかれんだよ俺たち……」
午前中でかなり消耗したらしく慶賀くんと泰紀くんはため息をつく。
車で移動するという事は試験会場はここから離れたところにあるみたいだ。
「もういいや俺……どうせ筆記で赤点だし……俺だけ来年も一年生なんだよ……」
「大丈夫だ泰紀! 留年する時は俺と一緒だ!」
「慶賀ーッ! 心の友よ!」
抱き合っておうおうと泣き真似をする二人を横目に、私達はそそくさと車に乗り込んだ。
先に来ていた恵衣くんが窓際で本を読んでいる。他に紫色の袴を履いた男性が五人ほど乗っていた。彼らはきっと試験監督だろう。
実技試験は五人も試験監督が付くんだ。大掛かりだなぁ。
呑気にそんなことを考えていると、入口からもう一人神職さまが中へ入ってきて扉は閉じられた。
ゆっくりと車が動き始めて、最後に乗ってきた神職さまが私たちを見回す。
「さて、午前の筆記試験はお疲れ様でした。手応えがあった者なかった者それぞれだと思いますが、気持ちを切り替えて実技試験に望んでください」