「そこまで、ペンを起きなさい」


試験監督の声が教室に響き、私達は鉛筆を机の上に伏せた。

解答用紙が集められていき「では午後の実技試験も頑張るように」と言い残して教室から出ていく。

ピシャリと扉が閉まると同時に、皆はプハッと苦しそうに息を吐いた。


「大門二の問五、答え何!?」

「俺は一番にしたよ」

「はァ!? 三の復命祝詞じゃねぇの!?」

「ここの穴埋めは!?」


一斉に立ち上がって嘉正くんの周りを取り囲む皆。私も自分の問題用紙を持ってその輪に混ざる。

今日はいよいよやってきた昇階位試験の日、今は午前の試験である筆記試験が終わったばかりだ。


「お疲れさまー、皆どんな感じ?」


答え合わせでわいわい騒いでいると前の扉から薫先生が入ってきた。


「ちゃんと問題用紙に答え転記した?」

「ちゃんとした! だから早く答え合わせしてくれよ先生!」

「あはは、分かった分かった。実技試験終わる頃までにはやっとくから、早くお昼食べてきな」


皆祈るような表情で問題用紙を先生に渡す。


「巫寿は出来た?」

「えっと、多分……」

「あはは、自信ないんだねぇ」


そう言われて肩をすくめる。

一応設問は全て解いて、解答用紙を埋めることは出来た。でも間違いないと自信を持てる解答は七割程度だ。


「ま、七割正解で合格だから大丈夫だよ」

「俺自信あるの五割くらいなんだけど!?」

「……泰紀は来年も一年生かぁ」

「薫先生!?」