思い返せば封じの御札を私達に見せた時も、ノブくんはそれを「貰いもの」だと言った。
百歩譲って普通の御札ならまだしも、ノブくんの状況を知らない人が封じの御札を彼に渡すのは妙だ。
ということはやはり、ノブくんの状況を知った上で助言した人物が裏にいるということになる。
でも、何のために?
「まだおかしい事が二つある」
「まだあるの……?」
「ああ。ひとつは三好正信の調書から、"誰かに助言された"という事実が一切消えていること」
途方もない悪意が広がっている気がしてぶわりと鳥肌が立った。
「もう一つはここだ。"残穢の残った校舎内はまなびの社宮司・花幡吉祥主導のもと12名の神職で清祓い神事を執り行い、一時間程度で浄化が完了した"。……あの日あの場に駆けつけた神職は、13人いた。俺が見たから間違いない」
「一人、多い……」
「そういうことになる」
どうして報告書には12名と書かれているの? 数え間違えたんだろうか? いや、この報告書は提出する前に禰宜の確認が入っている。間違っていれば指摘してくれたはずだ。
ということは、皆応援に駆けつけた神職は12人だと思っているということ。だったらもう一人は一体どこへ?
そもそも、そのもう一人は本当に応援で来た神職だったんだろうか?