調書の内容は、いじめを受けていたこと、その復讐を考えていたこと、蠱毒の存在を本で知って復讐にそれを使ったこと、犯人が絞り込めていると聞いて焦って呪いを終わらせようとして失敗したことがノブくんの口調でそのまま記されていた。

私達が聞いた事と殆ど同じだ。


「変だと思わないか、それ」

「変?」

「三好正信は蠱毒の知識を本で仕入れたと書いてる」


もう一度文章に目を落とす。

間違いなく"本で見て試そうと思った"と書いてある。

それのどこが変なんだろう?


「あいつ、俺たちと会った時何て言ったか覚えてるか」


ノブくんが何て言ったか?

そんなに細かいことは覚えていないけれど、確か「俺のせいじゃない」とは言っていたような気がする。

こんな事になるとは思っていなかったとも言っていた。


「確か……"こんな事になるなんて言ってなかったし。ただ仕返しができるって、それで妖の数も減らせていい事しかな"……」


声に出して違和感に気付いた。

だって今の口振りじゃまるで……。



「────三好正信に蠱毒のやり方を教えた奴がいる」



心臓が大きく波打った。

恵衣くんの言う通りだ。ノブくんのあの言い方だったら、誰かに蠱毒についてを教わったとも受け取れる。

いや、"言ってなかった"とノブくんが言った時点で、第三者が関係していることは間違いない。