『問題ありません』
私がそういえば、二人は少し申し訳なさそうな顔をして「ありがとう」と言った。
────その後応援要請を受けた神職が合流し、蠱毒の確保に成功。封印後、本町管轄の施設へ輸送される。残穢の残った校舎内はまなびの社宮司・花幡吉祥主導のもと12名の神職で清祓い神事を執り行い、一時間程度で浄化が完了した。
あの後そんなことがあったんだ。
蠱毒からはとてつもない残穢が溢れていたし、復命祝詞で修祓したとはいえ他の妖達の残穢もかなり残っていた。
あれをたったの一時間程度で全て浄化出来るなんて。
────呪者、三好正信は学生三人と同時に保護。診断の結果心身に異常はなし。事情聴取後、本人にも反省の色が強く見られたが被害の規模が大きいため、厳重注意の上日本神社本庁の定める講習の受講と保護観察措置に決定。
あの後、ちゃんとノブくんも保護されたんだ。
禰宜曰く、保護観察処分になるのはかなり重い罰らしい。今後ずっと本庁の監視の元くらさなければならないからだ。
「あの、彼に会うことは出来ますか?」
不安げにそう聞いたのは来光くんだった。
禰宜は来光くんの気持ちを察したのか優しい笑みを浮かべた。
「未成年ということも考慮し、本庁の監視下にあるだけで私生活に制限はありません。神修へ帰る前に様子を見に行ってはどうですか」
目を丸くした来光くんは嬉しそうに「はい」と頷いた。