「来光ッ! 来光死ぬな! 俺もっとお前と見たい景色があったんだよ〜ッ!」

「慶賀、慶賀。僕元気だから」

「やだよ来光〜ッ!」


座り込む来光くんの首に抱きつきおいおいと泣く慶賀くん。しまいには元気だつってんだろ!と来光くんの鋭い手刀が脳天に落ちた。


「大丈夫か巫寿、顔色やべぇぞ」


心配そうに私の顔を覗き込んだ泰紀くん。


「大丈夫だよ、鼓舞の明を使って疲れてるだけだから」


そう笑うと目を剥いて「ついに出来たのか!?」と身を乗り出す。うん、と少しはにかんだ。

誰かと連絡を取りあっていた嘉正くんが勢いよく振り返った。


「凄いよ三人とも、御札で完全に封じ込めてるって! これならすぐに対処できるだろうって言ってる! 本当にお手柄だよ!」


珍しく声を弾ませた嘉正くん。

地面に座り込んでいた私達は何度か瞬きした後、顔を見合せた。来光くんは他人事のようにぽかんとしているし、恵衣くんは相変わらず「当たり前だ」とばかりに鼻を鳴らす。

私はまだ何もかもが信じられない。

とにかく凄く疲れた、それなのにとても────。


誰ともなく差し出した拳が、三人の真ん中でコンッと合わさる。

ひひっと来光くんが笑う。ふっと恵衣くんが頬を緩ませた。私もよく分からないけれどぷっと笑う。

くすくすと笑ったあと、ほぼみんな同じタイミングでバタンと後ろに倒れた。

強烈な眠気に意識が体の奥底へ引っ張られる。皆が驚いて私たちの名前を呼ぶ声が聞こえた。


これ、多分明後日まで起きれないな。


そんなことを考えて、微笑みながら目を閉じた。