最後の一節を舞い切った。

息は上がっていないけれど、全力で泳いだ後みたいに全身が重く力が抜ける。

ふらふらとその場に座り込むと同時に来光くんが札を書き切った。


「ありがとう巫寿ちゃん! おかげで最強の札が書けた!」


立ち上がった来光くんが音を立てるドアに勢いよく御札を叩き付けた。その瞬間、目がくらむ程の激しい光を発すると、あれほどバタバタと激しく動いていた扉がピタリと止まり鉄板のように固くなった。

静まり返った廊下には、私たちの息遣いだけが響く。


「封じ……たんだよね?」


来光くんが戸惑うように扉を見つめる。

扉はピクリとも動かない。


その時、階下からバタバタと階段を駆け上がってくるいくつもの足音を聞いた。

ハッと顔を上げると、鮮やかな紫に朱、浅葱色の袴が階段から現れる。


「皆大丈夫か!?」

「巫寿ちゃん……ッ!」


宮司に志らくさんだ。後ろにいるのはおそらく本庁から派遣された神職さま達だろう。

皆が駆け寄ってくる。囲まれた私は誰かの背に担がれた。正直指一本動かせそうにないのでありがたい。

同じように担がれた恵衣くんと来光くんにノブくんは、あっという間に門の外、結界の外側へ運び出された。


「大丈夫かお前ら!」


外を任せていた慶賀くん達が駆け寄ってきた。手に持っていた毛布を広げて私達の肩にかけてくれる。