心を落着けるために深く息を吸って吐く。
鼓舞の明、最初の型は両手を天高く差し出す。
お母さんの舞をもう一度思い出した。
天女のように美しく桜の精霊のように清廉に舞う。桜を見て感嘆のため息を漏らすように観ている人達を癒す舞。
私はお母さんのようには舞えない。技術も練習量もまだまだ足りていない。
でもきっと根っこの部分は同じはず。
自分のためではなく人のために使う使う力。舞を舞うことで他者の力を増幅させる力
誰かを鼓舞するための力。
お母さんもきっと、誰かの力になりたいと強く願った時にこの舞を舞ったはずだ。
来光くんの力になりたい、恵衣くんの力になりたい。
守られてばかりじゃない、大切な人を守れるだけの強さを。大切な人を支えられる力を。
お母さんの鼓舞の明は桜の花のように優しさで、志らくさんの鼓舞の明は崖に打ち寄せた白波のように力強く舞っていた。
思えば同じ鼓舞の明でも、人によって感じるイメージは全く違った。私は皆をどんな風に皆を鼓舞したいのだろう。
傷付いた体を癒し、疲れた体を温め、暗闇を照らすような……そう、光のように。
がみんなを包み込み癒し温め、進む道を照らすような光に。
この舞がそんな光になれば。