ノブくんの手からひったくったそれを広げた恵衣くん。身を乗り出した来光くんが目を丸くした。


「これ御札だよ! なんでノブくんが持ってるの!?」


今度は来光くんがそれを取り上げてまじまじと見る。

私も手元を覗き込んだ。

不思議な模様と崩し文字が書かれている。何とか「封」と「除災」という字が読めた。


「これでエレベーターを封じていたということは、これは封じの御札だ。真似て書けば使えるかもしれない! ナイスアイディアだよノブくん!」


片手を上げた来光くんに、ノブくんはおずおずとでも少し誇らしげにパンッと手を合わせた。


「一般人の方がまともな案を出せるなんて恥ずかしくないのか」

「ハイハイそうですね! とにかく新しいやつ作ればいいんでしょ!?」


目を釣りあげた来光くんは懐から袱紗と筆ペンを取り出して床に広げた。


「あとどれくらい残ってる」

「正直ほとんどない。一割程度かな」


書宿の明のことを話しているんだろう。

結界の修復と禰宜達のために作った厄除の札でかなり消耗しているはずだ。


「分かった。とにかく全力でやれ。二枚だ」

「僕のこと殺す気かよ。言われなくてもそうするけどさ」


キャップを口にくわえてきゅぽんと外した。