最低な人だと思っていた。
いじめは間違っている。どんな理由があろうと許されるものではない。けれどいじめられたことを理由に人を傷付けるのは、いじめてきた人達と何も変わらない。
ノブくんはその苦しみを知っているはずなのに、人を傷付けてなおその責任から逃れようとしていたからだ。
でも来光くんは、ノブくんのそうじゃない面をちゃんと知っている。酷い所ばかりじゃなくていい所を知っている。
だからそこずっと待っていた。信じていた。友達だと思っていた。
「僕がいじめられている時、ノブくんがどんな顔をしていたか知ってる。僕以上に苦しそうな悲しそうな顔をしてた。そんな優しいノブくんが好きなんだ」
胸が痛い。喉の奥が詰まる感覚がした。
二人を苦しめたいじめさえなければ、きっとこの二人は今もまだ隣合って笑っていたんだろう。
「僕の大切な友達を、それ以上貶めるなよ。親友なんだ」
来光くんが乱暴に目尻を脱ぐって笑った。
その瞬間、ぐしゃりと顔を歪めたノブくんが両手を顔に当てる。肩が振るえている。こめかみから雫が溢れているのが見えて、静かに鼻をすする音が聞こえた。
「────こんなおおごとにするつもりじゃなかった。お前から話を聞いた時、直ぐに呪いを解いて終わらせるつもりやったんや……」
「うん、分かってる。君がこんな大それたこと出来る訳がないもんね」
「……助けて、来光。俺に出来る事は何でもする!あのおじさん達にも謝りたい! 俺が悪かった……ッ!」