音楽室と視聴覚室、順番に人が隠れられそうな場所は隅々まで確認したけれどノブくんを見つけることは出来なかった。
やっぱり私の予想が間違ってたんじゃ。だったら一度外に出て宮司と志らくさんが合流するのを待った方がいいかもしれない。
ぐるぐるとそんな事を考えながら被服室に入る。二人はすぐにロッカー駆け出したので、私は教卓に進む。
とにかくここを調べたら一度外に出ることを提案しよう。
そんなことを考えながら教卓の下を覗き込み目を見開く。
「い、いた……っ!」
私の声にふたりが弾けるように振り返った。バタバタと駆け寄ってきて覗き込む。
教卓の下に身を縮めるノブくんがぐったりとした様子で丸まっていた。頭に切り傷があるけれど出血は止まっている。顔も白いけれど息はある。
おそらく恐怖で気を失ってしまったのだろう。
「ノブくん、ノブくん!」
肩を揺すった来光くんに「阿呆か揺するな!」と恵衣くんが止めに入る。
そうだ。確か中学校でAEDの使い方を習った時、気を失っている人は揺すっちゃ駄目だと言っていた。確か意識を確認する時は肩を強く叩くって救命士さんが────。
恵衣くんが振り上げた手は真っ直ぐ綺麗に振り下ろされ、容赦なくノブくんの頬をバチンと叩いた。
いやいやいや、二人とも間違ってるから……!