階段を降りながら、私は来る前に写真に収めた校舎内の教室配置図を見た。
ちょうど今いるのが教室配置図の一番端、艮の方角。鬼門と呼ばれる北東だ。
ノブくんはきっと突然の異変に驚いて、ここから走って逃げたはずだ。
だとすると一体どこへ?
私がノブくんだったら────ノブくんだったらきっと。
「特別教室のある棟……!」
前を歩く二人が振り返った。
「私がノブくんだったら、怖くて一番遠いところに逃げると思うの。ノブくんはもしかしたら、特別教室のある棟に逃げたかもしれない……ッ!」
ふたりが目を見開いた。
「急ぐぞ」
私たちは一斉に走り出した。
西院高校の校舎は、真ん中に中庭を構えロの字型に配置された四つの校舎で成り立っていて、そのうち二つが学生達のホームルーム教室で、残り二つは理科室や視聴覚室などの特別教室になっている。
さっき私達がいたのが二号棟、その真反対側が特別教室のある四号棟だ。
「巫寿ちゃん冴えまくりじゃん!」
階段を駆け下りながら来光くんが興奮気味にそう言い、いやいやいやと首を振る。
冴えまくりなのは来光くんと恵衣くんだ。呪いを蠱毒だと突き止めたのも二人だし、ここまで来れたのも二人の知識と応用力があったからだ。