「イチ抜けた〜」

「はい来光ウノって言ってねぇからペナルティ」

「ちゃんと言ったし僕」

「ツーターン前にな。さっきのターンでは言ってないからペナルティ五枚〜」

「もう僕の負けでいいよ。飽きた!」


新幹線に揺られること三時間、そこから在来線に乗り継いだ私たちは実習先の"まなびの社"を目指していた。

今日から待ちに待った神社実習だ。


まなびの社は京都は京都でも市内から程遠い日本海側にあるらしく、新幹線を降りた京都駅からまた特急に乗り換えてかれこれ一時間近く揺られている。

朝学校を出発してからみんなが持ち寄ったトランプ、花札、かるた、と様々なカードゲームをして時間を潰してきたけれどそろそろ皆飽きてきている。

恵衣くんはわざと私たちから距離を取った席に座ってずっと眠っている。


「なー、降りる駅まだ?」

「あと三十分くらいかな」

「遠すぎ! なんで俺らは鬼脈(きみゃく)使っちゃダメなんだよ〜……」


慶賀くんが窓の外を眺めながらため息をつく。

私たちがいる現世(うつしよ)と妖たちが住む幽世(かくりよ)の繋ぎ目の役割を果たすその場所を私たちは鬼脈と呼んでいる。

各お社に設けられた鬼門(きもん)と呼ばれる鳥居が開いていれば誰でも自由に出入りする事ができて、そこを通ればかなり近道出来るらしい。


どういうからくりなのかは分からないけれど禄輪さんいわく、ひもの端と端が現世と幽世だと考えてその紐を複数束ねて真ん中で結んだその結び目が鬼脈になるらしい。